加速世界

前回記事の「消えていく幻想、変貌する世界」で、大きく変わり始めた世界について書いていますが、今回はテクノロジーの進化と加速について書きます。
そして、私の注目銘柄の根底の選定理由のさわりにも触れます。

変貌が加速する世界

現在は第四次産業革命のまっただ中であるという事は、何度も何度も書いています。つまり、今はテクノロジー革命の最中です。
この革命は何が起こるのかと言いますと、ゲームチェンジャーが出てくるということです。

過去には鉄道が交通シェア100%でした。つまりその頃は、鉄道会社同士の競争でした。
ところが現在の鉄道の交通シェアは10%少々です。他に航空業界などもありますが、この場合のゲームチェンジャーは自動車(マイカー)です。
交通は交通産業会社が行うものでなく、個人で行うものに、ゲームがチェンジしたのです。その結果、大赤字で国鉄が倒れます。

このようなゲームチェンジャーは、ありとあらゆる所に台頭してきます。

テクノロジーの変化は、産業や企業を変え、社会を変えます。そして、常識も道徳もイデオロギーも変えていきます。
いつの時代でも、世界を変えるのはイデオロギーではなく、テクノロジーです。

そして、テクノロジーの知見は、それぞれに結びついて、進化が加速していきます。
今は日進月歩ではない、秒進分歩だと言う様な言い方もあります。

産業革命の推移
  1. 第一次産業革命(蒸気機関などによる軽工業の発達とその時代。18世紀後半から)
  2. 第二次産業革命(電気の発達と重工業、重化学工業。19世紀中頃ごろから)
  3. 第三次産業革命(コンピュータの発達とインターネット。20世紀後半から)
  4. 第四次産業革命(IoT、AI、ロボット??。現在)
  5. 第五次産業革命(バイオテクノロジー???。不明)

この産業革命の歴史からも、どんどん加速して行っているのは、分かるかと思います。

収穫加速の法則というものがあります。
これは、発明や実現されたテクノロジー同士が結びつき、更なるテクノロジーの進化をもたらし、指数関数的にテクノロジーは進歩するという経験則です。

現在は、加速する社会です。アクセル・ワールドです。
今まで100年掛けていたことが、10年で起こります。10年掛けた進歩は、今後は1年で起こります。

DXは爆発的なイノベーション生産機

DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)は、お手軽なゲームチェンジャー生産装置です。
様々なものを生みだし、これからも生み出します。

DXとは、IT技術を使って、事業の効率化を行い、そして、企業組織・体質そのものをIT技術主体に変えることです。
(もちろん、ほとんどの大企業はDXに取り組んでいると思われますが、ここでは最後の企業組織・体質そのものをIT技術主体になっている企業の事を言っています。)

今までも様々なゲームチェンジャーが生まれています。
動画をデジタルデーター化してサーバーに入れるだけで、レンタルビデオ業界にゲームチェンジャーが現れました。その結果、TSUTAYAなどは毎年数十店舗の撤退をしています。
始めのゲームチェンジャーは、デジタルビデオレンタルのDMMでした。そして、Amazonプライム、Netflix、YouTubeなどです。
そして、これらはテレビ業界に対するゲームチェンジャーでもあります。

また、金融の世界では、SBI、楽天などがゲームチェンジャーとして現れました。

ここでは、多くの例は羅列しませんが、すべてはDXがもたらしました。
様々な分野でDXを行うだけでゲームチェンジャーが現れますが、実はDXには、もう一つ大きな特徴があります。

DMMもそうですが、組織や体質までDXで成り立つ企業はかなり多角的です。DXを行うと、関連する様々な事業に参入が容易になります。
ネット銀行のwebサイトに、顧客の嗜好に合わせて、証券、損保、生保などの様々な広告を出すだけで、比較的簡単に顧客獲得が出来ます
つまり、新規分野への進出にリスクが少ないのです。企業体質そのものをIT技術主体にすると言うのはこういうことです。

SBIホールディングスは、グループ全体で、すでに4000万人の顧客基盤があります。これは歴史がある都市銀行トップの三菱UFJ銀行の口座数と同じと言う事を考えると、DXのすごみが分かると言うものです。
楽天(利用者数5100万人)なども携帯ではまだ苦戦しているようですが、様々な分野に進出をして成功しています。
顧客の様々な情報はデジタルで取得出来ます。例えば旅行鞄を買った人を狙い撃ちにして、自動で楽天トラベルの広告を出すことも出来ます。クリック1つで誘導できます。
(実際にはこんな単純な事ではなく、様々な統計的な手法・分析を利用して、グループ内に顧客を取り込んでいます。)

つまり、DXが基盤の企業は、ゲームチェンジャーとして爆発的に成長して、さらに簡単に多角的なグループを作りやすいと言う事です。

ゲームチェンジャーはそこにいる

鉄道が同業他社と競争をしている時に、交通会社ではないマイカーというゲームチェンジャーが現れて、交通のシェアを奪っていったように、いつどこからゲームチェンジャーが現れるか、まったく分かりません。

テレビ業界には、Netflixなどだけがライバルでしょうか。
いえ違います。可処分時間を食い合うライバルは、ゲーム業界やスマホなどもいます。
テレビ会社はそもそも、同業他社のテレビ業界しか見ていないでしょうけど。

では、自動車会社はどうでしょう。
昨今、ソニーが自動車進出を表明しました。GoogleもAppleも表明しています。
自動車業界にも、すでにゲームチェンジャーが現れています。

そんな簡単に異業種が参入できるわけがないと言われる方も居るかもしれません。
EV(電気自動車)は、タイヤ一体型のモーターを買ってきて、配線して組み立てるだけです。つまり、法律的に許されるかどうかは別にして、個人で作ることも可能です。

車で重要なものはハードでは無くなってきます。これからの車とは、ソフトウェアです。
テスラは、車は作っていない、タイヤが4つ付いたスマホを作っていると言っていますが、EVの世界はスマホの開発と同じです。

自動運転で日本が遅れています。それは旧来の自動車会社が開発しているからではないでしょうか。

自動車製造企業は長い歴史を得て、成長してきました。
しかし、これからは分かりません。ゲームチェンジャーが現れてしまったからです。
おそらくトヨタは大丈夫かと思います。
ただし、過去はトヨタに長期投資をしていれば、ほぼ間違いなかったと思いますが、これからは確実ではありません。

自動運転レベル5(完全運転自動化)では、車はただの部屋になります。
そこには退屈な過ぎ去っていく景色を見ている人はいません。
部屋で過ごすための素晴らしい、リラクゼーションやレクリエーションを提供してくれる車が最も売れるでしょう。

オリエンタルランドやメタバースみたいな企業がゲームチェンジャーとして現れる未来も、まったく考えられない訳ではありません。

完全には予測出来ない世界

人工肉・培養肉の開発も盛んです。野菜や果物なども工場で作られる場合も出てきました。
スイカを地面ではなく、棚でぶら下げて空中栽培することも一般的になって来ています。
そのあたりから、食品業界のゲームチェンジャーが現れる可能性もあります。
培養した物を内部で整形して調理済みとして直接排出する調理機でしょうか。

既に3Dプリンターで作られた橋も出てきました。
そのあたりから、製造業、建設業のゲームチェンジャーが現れるかも知れません。

今は、どのような変化が起きるか分からない世界です。

DXも、厖大なゲームチェンジャーを排出しています。
旧来の大手優良企業も、あっという間に埋没して行くことも考えられます。
就職学生に人気のある優良企業が大リストラをして、多くの人材の首を切っていることも皮肉なことです。
これらの企業は既にゲームチェンジャーが現れているからです。

金融で言えば、大手都市銀行(3都市銀行で3万人)や、対面営業証券なども、大リストラを敢行しています。
三菱UFJは執筆時点で過去最高益ですが、大リストラを行った果てのことです。しかし、また数年後に大リストラが行われることでしょう。
銀行などの金融業界のゲームチェンジャーは、ネット銀行やネット証券だけではありません。
PayPayなどのスマホ決済もそうです。銀行がスマホに入っているようなものです。
コンビニの自動車税などの決済代行を、家で出来るスマホ決済がだいぶ浸食して来ています。
銀行から決済を侵食したコンビニが今度は侵食されている訳です。

つまり、どれほど過去の栄光があったとしても、現在有名優良企業であったとしても、旧来の企業は、長期投資には向きません。

注目銘柄の根底

実は私の長期投資の注目銘柄は、記事で理由として挙げた以外に「既にゲームチェンジャーであること」か、「多角化していて、日々新規事業に打って出る体質であること」を考慮しています。

RIZAPが赤字を出した時に、本業に専念しろという意見が散見しました。しかし、非常に稚拙な意見です。
もしRIZAPが本業?主体の企業であったのなら、私は保有していません。
新しい事業に打って出る体質であるので、保有しています。そもそも新しい事業に打って出たからこそ、フィットネスのライザップが存在するわけです。
もちろん、機器と場所を提供するだけのコナミなどの旧来のフィットネスに対して、ライザップのジムはゲームチェンジャーになっています。
しかし、今後もイノベーションは加速して続きます。本業に専念しない企業のほうが安心出来るのです。

SBIも金融のゲームチェンジャーでもありますが、同じように金融全般やバイオなど、多角化が盛んです。

オリックスは、日々新しい事業を生みだしている会社です。大企業でも大企業だからこそ、この体質は貴重です。
オリックスの最初の紹介記事には、ダーウィンの以下の言葉を書きました。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」

そして、オプティムですが、まさしくゲームチェンジャーを作り出すテクノロジーを開発している企業です。
さらにもう一つ、開発が多角的で、ほぼ全産業分野を網羅している唯一のIT企業です。

完全には予測出来ない世界で、いつゲームチェンジャーが登場するか分からないので、多角化していて、日々新しい事業に挑戦していく企業が生き残って成長して行ける確率が高い訳です。
本業に専念している企業は、ゲームチェンジャーが現れたら、すぐに没落して行きます。本業以外に詳しい社員もいません。

多角化にはシナジーがあることを気にされる向きもありますが、必ずしも必要ありません。
シナジーはあったらあったで、より良いですが、多角化は多角化している事自体やその体質にこそ価値があります。
何があっても潰しが効くと言い換えてもよろしいでしょう。