世の常

四季報によると、2016年3月から、9月にかけて、41827名の株主数が、35515名になっています。
たった半年で株主の減少数は6312名。浮動株は17.5%から15.2%へ、2.3%減っています。

RIZAPグループの株主は、比較的に株主優待が目当ての株主が多いと思われます。
ですから、優待銘柄であるにも係わらず、これほどの短期間に、手放しでしまった方が多いと言う事は普通ではあり得ません。
優待利回り的にも現状であれば、売り買いは交差しますので、株主数はあまり減らないはずです。

浮動株が減っていることでも分かりますが、これは大口に集約が進んでいるということを意味しています。
※四季報の定義の浮動株は、1単元以上50単元未満の株主が所有している株式のこと。

そこで、株主構成を見てみますと、悪名高き(笑)ゴールドマン・サックス が新たに入ってきています。
四季報では10位までしか分かりませんが、集約傾向から、10位以下にも似たようなところがずらりと並んでいることが容易に想像できます。

つまり、目ざとい機関が個人からあの手この手で集めていると言う事がわかります。個人は売らされている訳です。お金の匂いがする株式にはハエもたかるのは世の常です。

多くの機関投資家は、内部規則で地方市場の株式は買えません。
しかし、彼らは買えますので、東証上場で多くの機関投資家の買いが入ることを見越して集めているのです。

優待銘柄でこのような短期間で普通ではあり得ないと書きましたが、語弊を恐れずに言えば、彼らは(ゴールドマンがと言うことではなく)大きな売り板を出して見たり、売り崩して下値を買ったり、株式掲示板での執拗な売り煽り行為も計画的に行っているのかも知れません。
懇意にしている評論家にネガティブ記事を書かせることぐらいあり得ますが、こじつけや憶測で腐したような記事もいくつかありましたね。

2017年3月末の結果が次の四季報で分かるころには、もっとはっきりすると思われますが、その頃には高みに向かって出発しているのかも知れません。

大河の流れのままに

RIZAPグループの事業は、概ね粗利が大きいです。
それは小売店や代理店を使わず、販売して貰うために渡す利潤分や、営業組織の経費が要らないからです。
その代わりに、広告費を厖大に掛けます。それで事業的には、釣り合いが取れているわけです。

当然に広告費が節約出来れば出来るだけ、ビジネスモデル上、大きな利益になります。
純利益が粗利に近づくわけですので、普通の会社の広告費の節減効果とは明らかな違いがあります。

広告費の節約には、ある程度の認知度になっている必要があります。
もうすぐ閾値を超えると何度か書いていたと思いますが、今はすでに超えて来ています。
フィットネスのRIZAP(粗利7割)の広告も減ってきていますが、売り上げは上がっています。

無料情報誌のぱど(4833)を買収していますが、このような連携でも、広告費を節減して利益を増やすことが出来ます。

日本文芸社と北斗印刷とこのぱどを、RIZAPメディアグループとわざわざ名付けていますが、意味があり、重要だからです。
日本文芸社等のRIZAP関連の書籍も、利益を出しながらの広告と言えます。

M&A

RIZAPグループはM&Aで伸びてきました。最近では、前記のぱどやジーンズメイトやヤマノスポーツを買収しています。
赤字会社を中心に買収し、立て直して、グループシナジーを作ってきました。

もちろん、赤字会社をあえて買うのは、安く買えることと、立て直したときのギャップの大きな利益を取ることが出来るからです。
ちなみに、「ジャパンギャルズSC」は以前アスティと言う社名でたったの4円(一株ではなく会社全体)で買った債務超過会社でしたが、今では黒字です。
おそらくそのうちジャパンギャルズと合併し、上場してくるでしょう。

RIZAPグループは、SBIホールディングスの北尾社長も一番優れていると発言していましたが、マーケティング力が秀逸な会社です。
それも効果測定を繰り返してマーケティングをしますので、死角がありません。
商品が優れているが、販売力がない赤字会社を中心に買い、マーケティング力で立て直すと言うのが主要なスタンスになっています。

以前は、買収資金は、買収先の会社の株式を担保にしていましたが、最近は自己資金での買収が増えています。
また、実質価値より安く購入して、負ののれん代の利益がいつも出るようになっています。

つまり、M&Aも閾値を超えてきました。

負ののれんの利益

普通は買収価格は、無形の価値もありますので、企業の解散価値(時価純資産)より高くなります。
この差の辻褄が合いませんので、差をのれん代として資産計上して、経理上辻褄を合わせます。

しかし、解散価値より安く買うことが出来る場合もあります。これを負ののれんとして、利益計上をします。

これは一般的には例外的な利益と考えられています。利益にはなるが、本業と違い、その時だけの一時的な利益と考えられるからです。

しかし、たまたまそうなった場合はまさしくその通りなのですが、RIZAPグループの場合、最近は、いつも負ののれんが出ています。
勘違いをしている人がいると思いますが、いつも出ていれば、これはまごう事なき事業利益です。

要するに、RIZAPグループは、毎年いくつもの会社をM&Aして立て直している、再建会社(再建ファンド)でもあります。
つまり、これは、そのM&A事業に置いて、日常的に割安で購入することが出来る事業的な実力があると言うことを示しています。

RIZAPブランドが浸透して、さらにマーケティング力の秀逸さを提示して、ライバルに比べて安い提示価格でも選んで貰える力が付いてきたとも言えます。
また、他社が手を出すことが出来ない不安な会社でも、マーケティング力を持っているため、立て直しが可能として、買収に動けると言う事もあります。

日常的に負ののれんの利益を計上できると言う事は、例外的なことではなく、それはまごうことない事業であり、再建事業会社の範囲の真性の利益計上です。
もちろん、負ののれんによる利益だけでなく、大きな営業利益も計上しており、大きな利益率と共にグループが急拡大しています。

この面でも閾値を超えてきました。

人材の力

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元々この会社には、ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本コカ・コーラなど数々の会社で社長職を歴任して来た、「経営のプロフェッショナル」と言われる新将命(あたらしまさみ)氏が取締役にいました。

この新将命先生の著作を読まれた方もいらっしゃるかと思いますが、これがこの会社に当サイトがいち早く注目した理由の1つです。
(もちろん、当時の小さな会社からしてあまりに似つかわしくないので、しばらくは同姓同名ではないかと疑っていました。)

新将命氏の力によるのかも知れませんが、M&Aをした会社や本体に、優れた人材をいつも招聘しています。
この点もいつも思うのですが、とてもタイミングよく、例えばRIZAPの事業化の時も核になる人材を呼んできています。

ここでは個別に言及しませんが、新興企業にない人材の集積があります。
これもM&Aをした多彩な会社の建て直しや優れた経営に結びついています。

もちろん、新将命氏と瀬戸社長の対談レポートで、男が男に惚れたと言う新将命氏の発言がありますので、そもそも社長に人を引きつける魅力があるのかも知れません。

この辺りも死角がありません。

そして、現在の従業員数、計算上で連結4000名程度(次の四季報で記載されるはず)。
ですから、内部の人的資産も豊富に成り、また活用出来る体制にあると思われます。

この点でも閾値を超えました。

資産と資金

前にも書きましたが、みずほ銀行とRIZAPグループは、以前から親密です。
いえ、みずほグループの企業とも言えます。
同じみずほグループの伊藤忠商事と結びついたのは当然の流れですが、それはさておき、M&A等で資金繰りに困ったことはないようです。

最近では、その他にも大手取引行の付き合いが増えていて、資金等で困ることはないと思われます。
又、多くの場合、子会社株式を担保にして、格安な長期プライムレート並の金利で借りており(子会社のRIZAPグループの債務保証での金利から推定)、又、金融収支は黒字であり、非常に秀逸な環境にあると思われます。

また、最近の説明会で上場子会社の株式の簿外含み益は、180億円以上との社長の発言がありましたが、その後のM&Aを加えた試算では、含み益200億円を超えているものと推定されます。

有利子負債は、400億ぐらいですが、その半分の額を含み益として持っていると言う事になり、実際の自己資本比率は高いものと言えます。
さらに、RIZAPグループは、概ね上場子会社の株式を50%以上(平均70%程度)取得しています。
これはいざと言う時に、50%以下にならない範囲で売却して資金化できる体制にあると言う事を意味しています。
ですから、この含みはいつでも一定の範囲で表に出せますし、実際に必要時に行っています。
まさに再建事業会社と同じですが、RIZAPグループは、株主優待の利用で株価を意図的に上げることも出来ないわけではありません。

この点でも資金的にもかなりの余裕があります。

ブランドの力

RIZAPブランドは、それのみで稼げる資産になっています。

ファミリーマート(以下ファミマ)でRIZAPの低糖質食品などの販売が始まっていますが、これのみでもファミマの18000店で、平均日販1万円だとして、ロイヤルティが3%として、年間約20億円の利益になります。
(普通、こういうロイヤルティは、3~4%、価値があれば7%もありますが、共同開発なので、4%以上はあると思われます。)
いずれにしても、ロイヤルティ収入はリスクがなく、ほぼ純粋な利益になります。

ファミマでRIZAP
多くの種類が販売されていますが、注目したのはこちらのサラダです。
サラダですので、低糖質に決まっていますし、他のサラダも同じで、RIZAPのブランドを付ける必要もありません。

しかし、ロイヤルティを払っても、ファミマはRIZAPブランドを付けたいようです。
これは、RIZAP=低糖質と言う価値観ではなく、ドラえもんやミッキーマウスを靴や鞄に付けるようなものです。
RIZAPが付いていれば売れるとの期待があるわけです。

明らかにRIZAPの汎用ブランド化が進んでいます。ニッチではなく、ボリュームターゲットを狙っていけるブランドになっています。

ピザハットでもRIZAPのピザを販売していますし、キリンでプロティン飲料を売っていますが、もうそう言うレベルではなくなってきていると思われます。

ジーンズメイトを買収しましたが、RIZAPジーンズがあれば、エドウィン程度のブランドに育てることも可能です。
※エドウィンは、資本金5000万、利益2億程度の会社ですので、培ったマーケティング力と資本力を使って、RIZAPが本気を出せば、十分に射程圏内です。
ロイヤルティのみでなく、自前販売の手段があり、利益率も高くなりますので、浸透させる経費もかけられます。

機能性ウエアの本格販売を開始しますが、普通のスポーツウエアもブランド化が可能です。
※ヤマノスポーツの買収では、同じような戦略も取れます。

RIZAPはこの点でも閾値を超えました。

成長の果実

RIZAPグループは、最近は投資を自己資本で賄っています。
利益の向上が大きいのですが、上方修正はあまり行わず、超過分を投資に回しています。

これはとても良いことです。

急成長した企業はたくさんありますが、増資をして希薄化を招き、投資をした株主の利益にあまりなっていない例が多いのです。

この増資があまりないと言う事は、投資をする上で、非常に貴重な、また望ましい投資先です。
短期投資であれば、上方修正のほうが良いのかも知れませんが、中長期で資産を築くと言う観点では、自己資金で投資をしていく、またそれが出来る企業でなければなりません。

以前は増資もしましたが、この利益水準でその必要が無くなっています。

これも閾値を超えました。

遙かな高みへ

欠点らしい欠点がなくなっています。成長の道程を順調に進んでいます。
不安感のある地点を超えました。

おそらく東証一部への指定替えと共に、多くの人々の前に、グループ企業50数社、本体を入れて上場企業8社、連結従業員数5000名の急成長をし続けている大きな企業が姿を現すでしょう。
投資対象としても安心感が高い企業で、名が売れた企業の1つになります。

投資信託の多くが組み入れをすると思われます。これはもう、想定内のことになりました。