株式投資をするのには、お金が必要です。
必要と言いますか、お金と株式をチェンジする事で、あなたの資産を株式に移すことが投資(investment)、あるいは出資と言う事です。

日本語では、投じる資産と言う言葉になっていますので、誤解を生む元になっていますが、あくまで資産を何で持つかと言う事に過ぎません。

そこで、株式の価値と、お金(通貨)の価値を明らかにする必要がありますので、ここではお金とは何かと言う事と、お金の価値について語ります。

通貨の成り立ち

経済学では「交換の手段」「価値の尺度」「価値の保存」が主なお金の機能です。しかし、基本的には、交換の手段として生まれました。
後の機能は付随して生まれた物です。
正確に言えば、「価値の尺度」としてお金の単位を使う場合もあるということと、「価値の保存」もお金で保存する場合もあると言う事に過ぎません。

物々交換は非常に簡単で確実な経済行為です。
しかし、持ち運ぶことが不便、生鮮食品では腐ってしまうなどの問題もあり、 小型で耐久性のある物を仲介して交換を行う必要がありました。
そのため、流通のため、通貨と言うものが自然発生的に生まれました。お金の誕生です。

通貨の誕生

一部には珍しい石や貝殻などを使った例もあるようですが、価値を担保するために、そのもの自体が価値のあるものをお金(通貨)として使いました。
これが金や銀などの貴金属です。

元々、お金は、本来価値のある物の中で、持ち運び易い物、摩滅したり腐敗したりしない物、それがお金でした。
ですから、資産の種類の一つのものを通貨として使ったわけです。つまり、金(きん)や銀が通貨になりました。

やがて形状がまちまちでは不便ですので、国が一定量の金や銀を加工して、金貨や銀貨を作ります。貨幣の誕生です。
金や銀の価値が数えやすくなりました。

貨幣の堕落の始まり

金などの内容量は国が保証しましたが、財政ひっ迫のため、混ぜ物をした貨幣も作られたりもしました。
「悪貨が良貨を駆逐する」と言うことわざが作られたのはこうした事情です。
つまり、混ぜ物をした貨幣が流通し出すと、価値のある従来の貨幣を蔵に仕舞い込み、良い貨幣は流通しなくなると言う事を言っています。
おそらくその過程では、商店は良い貨幣を優遇し、悪い貨幣での支払いは値上げしたのでしょう。

これが初期のインフレ、貨幣価値の下落の始まりです。
お金とは実物資産を担保とする物ですので、貨幣そのものの内容物の量が少なくなると価値が下落します。

そのようなこともあり、一定量の金を担保とした債券が作られます。金を受け入れ、証文を発行しました。中央銀行の振りだした証文の紙幣の始まりです。
初期のころは、この証文を持って中央銀行に行けば、金を返して貰えました。

日本では中央銀行は、日本銀行と言います。半官半民の会社で、株式市場で株式(特別に出資証券と言います)が取引されています。

つまりお金とは、日本銀行と言う会社の借用書です。日本の紙幣の正式名称は、日本銀行券になります。

この借用書を持って買い物に行きます。
「この品物をこれで売ってくれ、これはあいつ(日銀)の借用書だ。後はおれの代わりに、あいつから取り立てをすれば良いだろう」と言うわけです。

つまり金を担保にした証文が流通し、通貨となりました。これが金本位制です。

しかし、やがて経済規模が拡大すると、担保の金が足りなくなります。
そのため金との交換を停止して、まだ金と交換をしていたドル紙幣を担保として、紙幣を発行しました。
つまり、金(きん)はアメリカから取りたてればよいだろうと言う事です。

ところがアメリカも金が不足して、ドルと金との交換を突然に停止します。言わば不渡り手形になりました。これがニクソンショック(1971年)です。
この時、通貨の価値を保っていた、ブレトン・ウッズ体制が崩壊します。

不確かな存在へ

お金は機能的に借用書ですので、バランスシート上、発行した以上の実物資産の裏付けが絶対に必要です。無ければ日銀が債務超過になり、倒産します。
(実際に執筆時に、日銀の純資産は3兆円以下。通貨発行量に対してあまりに脆弱。)
それでは、現在はどうなっているのかと言いますが、日銀のバランスシート上、通貨(借用書)の発行は、日銀の金庫に入れた国債が大部分、後は社債、外国紙幣と僅かな金地金によって担保されています。

つまり、こういうわけです。
借用書は、同じ借用書の国債や社債や外国紙幣などが裏付けで、しかもその国債などは、日銀の借用書である日銀券が元になっています。
借用書の裏付けが借用書です。堂々めぐりの詭弁や虚構の産物です。

今の通貨は実体が何もありません。価値は架空のものと言えます。
冗談では無く、誰かがあんなものは無価値だと叫びだし、賛同する人が増えていけば、一気に崩壊してしまうシステムになっています。
今ではお金はこのように脆弱で不確かなものになっています。税金をこれで払えると言うことだけが取り柄で、最後の拠り所です。

ですから、現在の紙幣は、国債を発行して、日銀の金庫に入れて紙幣を発行するだけで、いくらでも作り出せます。
赤字国債を問題にする方も見えますが、今は通貨も無担保債券(不兌換紙幣)ですので、実は同じものなのです。

価値そのものがあるのか、よく分からない存在で、ですから価値の低下が起こりやすいものです。混ぜ物を入れた貨幣以下のものです。
執筆時現在は、まだデフレ状態ですが、これは歴史的には異常な状態に過ぎず、通貨の性質から言えば、インフレになるのが通常のことになります。

ビットコインの方が安易に発行できないだけ、遙かにましだと言うことがお分かりでしょうか。
電子貨幣(仮想通貨)と言うのは、この脆弱な体制を打破するために発明されたものなのです。
日本の法律も変わり、ビットコインなどの仮想通貨が支払い手段として公認されましたが、まだまだこれからの存在で、破綻前に移行が待たれますが、難しいでしょう。

分かっている方は、現在の通貨が危機的な状態と言う認識をしています。
通貨が価値の裏付けのない、いくらでも発行出来る状態になって、歴史的には(ブレトン・ウッズ体制崩壊(1971年))から数十年、よく保っているほうだとも言えますが、このような状態で永遠に保つはずもありません。

この危険な状態を何とか打開しようと、レーガン大統領の時、委員会を設置し、金本位制への復帰が検討されましたが、断念されました。
もしこの時に、金本位制に復帰していたら、「通貨に対して金の絶対量が足りません」ので、大幅な金の評価替えがあり、通貨価値は一夜にして下落していたはずです。(金価格と量で難しいと言う意見がありますが、それは市場を知らない評論家の意見で、評価替えを公式にしてしまえば、ヘッジファンドなどがマネーゲームに群がり、そうなります。)
これに耐えられない金準備を減らしていたフランスが強硬に反対したとも言われていますが、真相は闇の中(公式には委員会で否決)です。フランスは比較的に多く、日本はもっと少ない(3分の1)ですが、おそらく打診もされていなかったと思います。その後も何度も検討されています。
もっとも、この事があったことをすぐに察知した国が、昭和天皇在位60年の記念硬貨の名目で金を緊急輸入して(日銀の金地金を使わず)、10万円金貨を発行したのは、念のために国民に少しでも金を持たせるための(国内に保有する)政策だったとも言われています。レーガン大統領は苦々しく思ったことでしょう。
その後も発行されており、二種類の金貨を持ったとして50グラムの金になります。

紙切れを価値ある資産へ

お金(通貨)と言うものは、交換手段ですので、一定量の資産はお金で持っておく必要があります。
しかし、普通に考えれば、資産と言えるのかも不確かな、出来れば持ちたくない存在です。

もしかしたら、お金は国が保証しているという間違った認識を持っている方もいるのかも知れません。
しかし、国が保証しているのは、紙幣が日本の公式通貨であると言うことだけで、価値を保証している訳ではありません。
価値はなるべくコントロールしようと、日本銀行が頑張っていますが、バランスシートが崩れて、日銀の倒産もあり得ないわけではありません(現在の日銀の自己資本比率は8%程度)。
(国に力が残っていればそれらの混乱は防ぐことが出来ますが、それはお金の価値を無くすことでしか出来ません。)

記憶されている方は、今はあまり生きておられないでしょうが、戦後の日本でも新円切り換え(幣原内閣)によって、強制預金ののちに、貯金や預金を封鎖し、僅かな一定量だけを新円で引き出しを許可し、残りは破棄したということも行われたことがあります。お金を取り上げて消滅させたのです。
昔の一時期だけの事で、今はありえないと思っている方は、まさかいませんよね。2013年にキプロスでも預金封鎖と通貨消滅措置(ベイルイン)が起こっています。

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現在、世界的に行われている金融緩和には出口はありません。
現在の紙幣は無担保の借用書ですので、無制限に発行出来ますし、してしまっています。そして、もはや止めることも出来ません。
これは金融緩和をしているから駄目と言っている訳ではありません。
現在の通貨安戦争や経済対策に於いては、金融緩和は止めることはできませんが、これには通貨の現状のシステムから言えば出口が見当たらないと言っています。
(念のために、財政問題のことでもありません。財政的には対外純資産が多い日本は健全です。)

世界の通貨システムにブレトン・ウッズ体制に替わる価値の保全がない以上、大きな枠組みで見れば、価値の下落が起こるのは当然の事として、最終的には通貨切り換えにより、消滅させるしか手がありません。
お金でしか資産を持っていないと言う事は、実に危険なことで無謀なことです。そして、愚かなことです。
前記のキプロスでも、紙幣以外のもので資産を持っていた者だけが没落を逃れています。

私たちは、お金の単位でものの価値を計る慣習が染みついていますので、野菜の値段が上がった下がったや、株式の値段が上がったや下がったと、お金を中心に「価値の尺度」としていますが、当然に野菜から見て、お金の価値が上がった下がった、株式から見てお金の価値が上がった下がったとも言えるわけです。

100万円は、いつまで経っても額面上は100万円ですが、実は大根が何個分、あるいはこの株式が何株分と言う尺度で見れば、価値が上がったり、下がったり激しく動いています。
これは為替を見てもよく分かりますね。円が安くなったり、高くなったりしています。

「価値の尺度」の機能も、お金を中心に仮定した場合であって、お金の「価値の保存」の機能も短期間の効力しか持ち得ないことが分かると思います。

唯一、「交換の手段」の機能のある、紙切れがお金(通貨)であることが分かります。

つまり、投資以前に、資産と言うのは、安全のために、分割しておく必要があると言う事です。
昔から日本では「財産三分法」と言われていますが、分散して資産を持つことは非常に大切なことです。
アメリカの格言でも卵は一つの籠に盛るなというものがありますが、分散投資の事で無く、資産の事と解釈しても良いでしょう。

そして、その中で、なるべく価値が増大する物に多めに移しておくことが必要になります。

意識と資産のチェンジ

何代も続いているお金持ちは、お金(通貨)ではあまり持っていません。
大半は、土地であったり、株式であったり、金地金であったり、美術品であったり、つまり、実物資産や、稼ぐ権利を持っています。これがいわゆる資産家です。中国の資産家ではビットコインなどの仮想通貨にも移しています。

それに対して、運良く出世したりして、お金を稼いだ、中産階級は何代も続きません。歴史的にも、ほぼ没落しています。
なぜなら、後生大事にお金を持っているからです。
その他にも資産と言うものや経済と言うものが分かっていない人々は、必ず没落しています。そして、続いている資産家の家系ではこのような投資教育は普通にされます。

話の流れ上、仕方なく書きますが、私は30代以上続いた家系の出です。ご先祖様は祀った神社もある歴史上の人物です。
数代前は、おそらく富豪と言える存在だったのでしょう。

過去には隣町には自分の土地だけを通って行くことが出来たという話です。
子供のころは町のどこへ行っても、祖父の名前を出せば、○○さんの孫かと気がつかれました。そのころでも有名だったようです。
しかし、戦前の戦費調達のための国のプロパガンダ(政治的宣伝)の「貯蓄は美徳である、貯蓄こそ日本を救う」に騙され、預金を積み上げ国債を買い、すべてを失ったようです。
明治時代の4000円の旧円の預金通帳(当時なら家が買えた)が古いタンスの隅から出てきたこともありますが、株式や金地金でも買っていてくれたら、どんなに良かった事でしょう。
敗戦を持ってしても価値を保つのが株式です。紙切れの通貨ではありません。

それはともかく、投資以前に、紙切れを後生大事にしている愚かな人々に、紙切れを押しつけ、資産を手に入れることが大切です。
必要以上の紙切れはなるべく早く、価値ある資産とチェンジすること。それは悪貨を人に押しつけ、良貨を手に入れることと同じです。

人々を投資から遠ざけて、戦費捻出のために庶民は郵便貯金をだけをしていれば良い、お金は国が使うと言うプロパガンダは、今でも人々に染みついています。
このプロパガンダは高度成長のために戦後も続きました。

株式のままで長く持つことを怖がり、直ぐに利確する人も、国に洗脳されたお金信者になっているのでは無いでしょうか。

変わって来た国の政策

戦費調達の為に日本人を異常なまでに預貯金信奉へ向かわせた国のプロパガンダ(政治的宣伝)は、戦後も高度成長のための資金確保で続けられました。「庶民は投資するな、黙って貯金していれば代わりに使ってやる」と言うわけです。

しかし、最近では、現在の不況の根本は800兆円ものお金が預金として凍結されていて、市中に出回らないためであると言う認識が、既に経済通の政治家の共通意識になっています。
そして、戦前や高度成長期の貯金や預金を先導した政策からの脱却が必要だと認識されています。江戸時代以前に戻ること、あるいはグローバルスタンダードが必要な訳です。

しかし、政府もあまりに長期間の洗脳が上手くいきすぎて対策に苦慮しているようです。それでも、なるべく貯金へ先導して、投資をさせないと言う路線からは、大きく転換して来ています。

少額投資非課税制度(NISA)などの投資優遇策も始まっています。
環境の整備のためのコーポレートガバナンス・コードもスチュワードシップコードも設定されました。
大きな変化です。

そして、なかなか実績が出ていないようですが、インフレ目標も設定されました。通貨供給量も増やされています。
経済対策のためにインフレを起こそうとしていますので、当然の如く、年金資金の運用も株式の割合が増やされています。

投資を抑制し、貯金を激励する政策から、貯金を抑制し、投資を激励する政策に変わりました。
つまり、国は貯金をしていては、損をしますよと、分かる人には分かるメッセージを送り始めました。

またも国に騙されるのでしょうか。いえ、やっとまともになって来たのです。

アメリカ人の家計資産で株式の占める割合は5割程度です。
株式売買をしていると言うことでは無く、株式で資産を持っていると言うことです。あるいは株式で資産を築いていると考えてもよろしいかも知れません。

アメリカ人は特に株好きだからでしょうか。いえ、その他の国の人々の家計資産も、三分の一や四分の一ぐらいは株式で占めていることが普通のことです。少なくとも先進国では一定の割合の資産を株式で持つと言うのは常識なのです。ヨーロッパの国々の家計資産の平均でも、25%以上を株式で持っています。
そして、他に不動産や金地金などで持っています。

つまり、預貯金と保険のみが大部分の金融家計資産になっている日本人が異常なのです。世界的に異常なほどにお金信仰に洗脳されている状態になっている民族が日本人です。

通貨が大切ですか、資産が大切ですか

さて、お金とは何なのかということから、現代のお金には実体がないということ。さらに、お金のみで資産を持つことの危険性。
そして、国の政策そのものが、投資を優遇し、預貯金に冷たくなっていくことに変わってきていると言うことを説明をしました。

歴史的にも構造的にも通貨と言うものは価値が減じていきます。
特にこれからはお年寄りがバブル時代に預貯金に貯め込んだ800兆円のお金が黙っていても相続によって市中に出てきます。
確実にインフレを起こす、通貨下落爆弾が間違いなく降ってくるのです。

もちろん、交換手段である通貨は一定量の所持は必要です。緊急に必要が生じることもあります。
当然に私も預金もしていますし、当面生活出来る一定量の紙幣も身近に保持しています。

しかし、それ以外のすぐに用途の無い、お金と言う紙切れは、なるべく早く、優良資産にチェンジしておく必要があります。
もちろん、それは株式に限定しての話ではありません。資産には様々なものがあります。

当サイトでは、一定量を株式に振り向け、資産形成と資産の保持をお奨めしています。
ですから、短期の株式投資や株式投機をお奨めしているわけでも、すべての資産を株式で持つ事をお奨めしているわけでもありません。

株式は上がったり下がったりします。本当はお金が上がったり下がったりしているのかも知れませんが、確かに短期的には価格変動があります。
しかし、株式は長い間に渡って収益を産み、資産価値が増大して行きます。

さて、あなたは、日々価値が減じていく、実物資産の裏付けのない、実はただの紙切れを後生大事に抱えていたいのですか。

それともなるべく株主優待を享受しながら、成長株に投資をし続けて、大きな資産を築きたいですか。

洗脳を解き放し、自由に思考し、自由に生きていきたいですか。長い年月にわたり、子や孫に資産を残したいですか。

資産を持つと言う意味がよくわからない方は、バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのかをお読みになると、富を築くと言う事に関して、もっと本質的なことが分かると思います。
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