今年、7番目の下げ幅だと言うことですが、しばらくは神経質な展開が続くかも知れませんが、現在の所は、大勢に影響はないでしょう。

今回の下落は、円が少し高くなったと言うことが原因と言われていますが、基本的には、調整らしい調整もなく6ヶ月も上げ続けた相場の健全な調整が続いているだけです。通常、3ヶ月ごとに調整することが普通ですので、倍の期間上げていることで、倍の期間の調整を行っていると考えると良いでしょう。8000円のころから考えると比率でいえば200円ちょっと程度の下落と同じで、取りたてて言及することもないぐらいです。

少し円高になった理由ですが、もちろんアメリカの金融緩和がこれからも続くという観測によるものです。アメリカの金融緩和は、もう5年も行っていて、アベノミクスの金融緩和が始まったころも、負けじとドルを刷り続けていました。 しかし、それでも今まで金融緩和を行っていなかった円が緩和をし始めたことで、80円台から、100円台まで円安が進んだのです。

日銀が金融緩和を実際に始めたのは4月からです。おそらく30兆円程度しか出回っていません。現在の状況はまだまだ思惑のみで円安になっている様な感じですので、何かあればすぐに円高に振れます。しかし、日銀がこのまま緩和を続ければ、ボディーブローの様に効いてきます。110円ぐらいは射程範囲だと思います。

企業業績はかなり回復傾向なのはご存じだと思いますが、円安が続けば、もっと回復するでしょう。デフレからインフレに入って行けば、内需も回復します。小泉改革のころの2万円は想定内でしょう。

ただし、気を付けなければならないのは、消費税です。消費税の増税は程度の差こそあれ、必ず経済を冷やします。もちろん法律には自民党が民主党との修正協議で盛り込んだ付帯条項が入っていて、経済状況を見ながら、10月に決定と言うことになります。

リフレ政策を行っているところで、税金を上げるというのは、悪手です。出来れば順調に経済が復活して、過熱傾向に入ったころに需要を冷やす目的で使いたいものです。

安部総理はもちろんこの事を分かっています。安部総理のブレーンはあのイェール大学の浜田名誉教授です。消費税増税をこのままここで、実行したくはないのが本心でしょう。しかしながら、選挙に勝ったとはいえ、財務省の圧力、党内の多数の財政規律論者、オールマスコミの消費税上げ賛成の論調。最近では麻生財務大臣が実施に前向きです。これらに簡単に対抗出来るでしょうか。

少なくとも影響を軽減できる変更が出来るか、あるいは延期できるか、株価はそれを見ているはずです。

もし、消費税増税を原案に近い形で実施しようと想定しているのなら、影響軽減のために、財政出動をより早く、より大きく計画するはずですので、それらがバロメーターになるかも知れません。あるいは8月15日に靖国神社の参拝をあえて行わず、秋の例大祭に参拝実施と消費税延期を絡めて、突破口にする可能性もあります。

いずれにしましても、消費税延期をする場合、何らかのインパクトや自民党内の合意が必要なのは事実です。