投資対象銘柄の選び方

長期投資での投資対象銘柄の選び方になりますが、選ぶのはもちろん、富をもたらす資産として、長く保有していたい会社です。大切なのは、イソップ物語の金の卵を産む鵞鳥を見つける事です。

対象銘柄は、何か数式に当て嵌めれば導き出される物でもありませんし、条件のすべてに該当しなければならないと言うものでもありません。
もちろんたった1つの銘柄に集約出来るものではありませんし、数多くの候補があると思われます。投資対象は数銘柄程度には分散する必要がありますので、そもそも候補が複数で構わないわけです。

原則として注目すべき大枠

まずは長い成長企業であることが重要です。

伸びていく新しい産業

伸びていく新しい業界、新しい事業であることが大切です。事業分野だけではなく、常に新しい事業に挑戦していく、企業体質も注目すべき会社になります。
これは何も新技術という事ではなく、今までになかった物、今までに無かった切り口、人々のニーズにあったもの。現在から未来にかけて普遍的に不足している、あるいは求められるものであろうと言う事です。

時代のトレンドに乗っている企業が、現在もこれからも、成長して行く企業です。
それもなるべく大きなトレンドに乗っている企業が投資に相応しいでしょう。
単にブームのようなものではなく、インターネット、ICT、IoTなど、AI、ロボット、再生可能エネルギー、老齢化社会(健康、労働力、介護)のような継続性のあるトレンドであることが大切です。

時代のトレンドは、始めは細く、多くの人に見通せない流れですが、止められない巨大な流れになります。
そして、すべての既成の遺物を押し流すまで長く続き、多くの企業を成長させます。特に重要な視点は、より便利な物です。便利な物から便利ではない物へは、決して逆戻りしません。
現在でも、Amazon、Googleなど、30年前には存在もしなかった多くの企業が、大企業になっています。

長期投資は時には一生の投資になります。
普遍的に求められる物であることは大切ですが、始まった新しい動き、切り口である必要もあります。または、そういう世の中の動きに対応出来る企業である必要があります。
それでなければ、すぐに賞味期間が終わってしまいます。

執筆時点の今は、第三次産業革命から、第四次産業革命に移ろうとしています。

参考:産業革命の推移
  1. 第一次産業革命(蒸気機関などによる軽工業の発達とその時代。18世紀後半から)
  2. 第二次産業革命(電気の発達と重工業、重化学工業。19世紀中頃ごろから)
  3. 第三次産業革命(コンピュータの発達とインターネット。20世紀後半から)
  4. 第四次産業革命(IoT、AI、ロボット??。現在から)
  5. 第五次産業革命(バイオテクノロジー???。不明)

この時代の動きに注目することも大切です。
もちろん、新しい技術を扱う企業群の中には、競争に破れて淘汰される数多くの会社があります。それを充分に勘案することも必要です。※その産業に普遍的に必要とされる部品、一部を扱っている企業、重要な特許を押さえている企業などに注目。

しかし、ここで大切な事は、第三次産業革命以下に係わる企業はもう終わりかというと、そうではありません。
第二次産業革命に係わる自動車産業は、モータリゼーションの波によって、長い長い成長をしました。
これは第三次産業革命のコンピュータやインターネットにも言えます。あらゆる物がこれからもこの波に乗っていくでしょう。特に第三次産業革命から波及したものは、まだまだ大きく成長して行くことでしょう。
産業革命からは、新しい産業の種が産まれ、長い成長をするものが出てきます。その萌芽を見つめることも大切です。

また、世の中には普遍的になくならない需要があります。健康や美容や医療の分野です。
これらは永遠に消滅することがありませんし、充分に供給されても、おろそかに扱われることもありません。もちろん、新たに投資するためには、新しい切り口を持った企業やビジネスモデルである必要があります。

成長限界が高い

その会社がいつまでどこまで成長出来るかと言う事に注目します。
伸びていく新しい産業と被りますが、長く大きく成長していく産業、企業で無ければなりません。
すぐに需要が飽和したり、飽きられる可能性のある分野は、好ましくないものになります。
そうでは無くても、ニッチな分野(将来主流になるようなものは除く)は長期投資には相応しくありません。

成長企業を狙わなければなりませんし、成長をし続ける企業を保有しなければなりません。
あなたが投資をした時から、堅実に黒字を出し続けるだけでは足りません。時にはやむを得ぬ赤字を出そうと、長い成長を続ける企業である必要があります。

配当利回りなども、良いだけでは足りないのです。
例え始めは配当が無くても、やがて配当を増やし続けて、初期の投下資金に対して、100%、200%の配当利回りになっていくような企業である必要があります。
ふと思いつく物では、SBIホールディングスが、8年ぐらいで配当を12倍ぐらいにしていますが、成長企業では珍しくありません。
そのような企業で配当での再投資を続けていくと、まるで雪原で雪だるまを廻して作っていくような資産拡大をします。雪だるま式です。
そうで無ければ、資産家ではない人々が資産家になっていくことは出来ません。
(もちろん、やがて成長が止まっても、投資してから大きく成長を遂げていて、投下資金に対して高い利回りを出し続けている企業を保有し続けるのは構いません。)

原則として、成長限界に達してしまった、あるいはすぐに成長限界に達してしまうような企業に、新たに投資するのは、避ける必要があります。
ですから、需要が飽和して、景気により需要が増減するようなコモディティ企業は、投資対象外になります。

ただし、産業分野として需要が飽和していても、新しい切り口、新しい技術で、旧来の企業のシェアを取って行き、大きな成長を遂げて行けるような企業は別です。

参入障壁が高い

例え、伸びていく新しい産業で、成長限界が高くても、すぐに他社が容易に参入してくるようなものは避ける必要があります。
真似をされたら終わりでは、ビジネスモデルとしても辛いものがあります。

他社の追従を許さない何かが必要です。

それは特許であったり、ブランド力であったり、技術力であったり、企業体質であったり、様々なものがあります。

例えば競争が激しい分野でも、勝ち続けている企業があります。その企業には何かがあるわけです。それを見極める必要があります。

参入障壁が低そうに見えても、他社の参入をほぼ退けている企業と言うものもあります。
伸びていく産業や成長限界は、比較的に容易に見極めることが出来ますが、参入障壁の高さは、時にはかなり調べる必要があります。
精査することで、誰もが分かっていなかった、その企業の強みが見えてくるかも知れません。それが普遍的なものであったら、掘り出し物を見つけたことになります。

参入障壁が低いビジネスは、例え参入が少なくとも高い利潤を追及出来ないことが多いようです。
やはり利益率が高いという原因の1つは、参入障壁の高さです。
ですから、利益率で企業の効率だけでなく、参入障壁の高さも類推出来ることもあります。

参入障壁が高いことは、利益限界も高いと言えます。

その他のいくつかの注目点

今までにあげた、新しい産業、切り口。成長限界が高い。参入障壁が高い。以上の3つは、必須のものです。
少し被るところもありますが、これ以外に注目する点を少し羅列します。もちろん、以下の記述は、該当しない部分があっても構いません。総合的に勘案してください。

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オンリーワン企業

世界に1つだけの花と言う歌がありますが、それぞれのたった1つの花では、足りません。

他にはない、秀逸なオンリーワンであること。
そして、そういうオンリーワンの企業には、多くのオンリーワンがあります。こういう企業はこれからもオンリーワンを作り出します。
そういう体質、組織がオンリーワンであるからです。

参入障壁が高い事業分野や商品を持っている事も大切ですが、こういう企業体質や資質こそ、最も他社がキャッチアップできない参入障壁です。

例えばハーモニック・ドライブ・システムズは、波動減速機でオンリーワン企業でした。世界で唯一波動歯車装置を実用化しました。
しかし、現在では他に製造に成功したところが出てきています。
ところが、やはり世界で初めてアバカス減速機の製造に成功しました。

健康コーポレーション(現RIZAP)も、豆乳クッキーダイエット、ジェルの定期購入を条件に美顔器を980円で売るビジネスモデルを始め、数々のオンリーワンを作り出しています。中には成功しなかったものも数多くあります。しかし、その中からライザップが出てきています。

オプティムも世界で初をいくつも作り続けて、重要な基本特許を数多く持っています。

メジャーなところで言えば、本田技研は、技術端の企業で、二輪車でトップ、四輪でも主要企業、アシモを作り出し、そして、やはり常識を覆す設計で小型ジェット機で世界トップシェアになりました。

オンリーワンを持っている企業は、元々オンリーワン企業なのです。オンリーワン企業に注目することが大切です。

現に成長している

成長をしている企業は、長く成長します。
成長企業としての条件が背景にあるからですが、大雑把に3年チャート、5年チャートを見て、右肩上がりの企業は、今後も成長していく可能性が大きいと考えてよろしいでしょう。(利益額の成長も確認。)
もちろんその成長が普遍的なものになるものであるか、企業内容、事業内容の裏付けを取ることが大切です。

しかし、成長している事実だけでも、長期成長株投資の確度は相当に高くなります。

利益の伸び幅

売上の増加率より、利益の増加率のほうが上回っていること。

成長を続けて規模が拡大することによって、利益率が高まる企業が望ましいです。
成長の果実をより多く得ることが出来ますし、成長が成長を加速します。

携帯会社などの装置産業や使用権などを売っているシステム会社などに、このような傾向が顕著ですが、他にもあります。
シェアや規模の拡大が有利に働く企業が長期に投資するのに、より相応しいです。

オーナー社長

多くの自社株を持っているオーナー社長がいること。

サラリーマン社長がダメと言う事はありませんが、オーナー社長は意気込みが違いますし、成長企業の初期は、多くの場合、オーナー社長です。
あなたが黎明期に投資出来たという証明でもあり、成長した時の果実は大きくなります。
また、オーナー社長が多くの株式を持っていると言う事は、市場に出て来にくい株式が多いと言う事でもあります。

社長が失敗を認めていること

失敗しない人間はいません。
そして、失敗を認識出来てこそ、学べますし、対策が取れます。
失敗を認識している社長であれば、自嘲気味に、あるいはエピソードとして、ことあるごとに失敗を語りますので、あなたもそれを容易に知ることが出来ます。

こういうエピソードが出てこない会社は怖い会社です。
社長の中で単に運が悪かった等の結論になっていれば、失敗として認めないし、対策もされないわけです。

例えばリーマンショックの時には、多くの社長が、業績の悪化はリーマンショックがあったから仕方が無かったと語っています。
それで完結しているわけです。
しかし、一部の社長は、対策が取れていなかった、一括契約だったので機動的な縮小が出来なくて傷口を広げた等の自分の失敗を語っています。そして、対策を語ります。
この違いは、長い投資では大きな違いになります。

株数が少ないこと

時価総額が少ないことと言い換えてもよろしいですが、発行株数が少ないことは伸びしろがあるということです。
つまり、株式分割が期待できるということですが、自分の持っている株式持ち分が、充分な成長の果実を受け取る割合になっているかと言う事です。

企業理念を持っている事

200年以上、生き残っている企業の約7割は、社訓等を持っていると言う事です。

社訓、企業理念、経営理念、ビジョンと言うものは、絶対に必要です。
企業のアイデンティティーを明確にしていることは、長期の企業活動に取って必要不可欠であり、組織の一体化にも必要なものです。

言わば、錦の御旗を持っているかと言う事です。

成長企業と言うものは、急激な組織拡大をします。
この膨張と爆発は、数々の軋轢をもたらし、社員教育だけでは空中分解を防ぐことが難しくなります。
企業理念、ビジョンを共有していることは、同一化しやすく、方向性を示しやすくなります。

もちろん、それがありきたりのものでないことやおざなりのものではなく、確固たるものであることが大切です。

問題が明確であること

成長企業だけでなく、企業再建の過程に投資をして行くことも有用なことです。

しかし、長期低迷していた企業にあっては、低迷の原因が明確になっていることと、それが社内で共有されていることが大切です。
同時に、それらがほぼ確実に解消されるであろう対策が存在する事が確認出来ることが必要です。

指数等

PEGレシオ、ROE、株式益回り、PBR、株主構成。ケースバイケースで、私は特にこれらの指数等は確認します。益回りはPERと同義ですが、あえて益回りで考えます。
これらはこれで無ければダメと言うようなものではなく、会社の現在の状態を見るために確認しています。

もちろん、PEGレシオ、ROE、株式益回り、PBRは良いほうが望ましいことは望ましいですが、株主構成はその会社の成長の段階を知るために確認します。
個人株主が多い成長初期の企業であるか、年金資金等の割合が多い、すでに存在感のある企業であるかどうかです。どちらが良いと言うことでは無く、分散投資をする面で出来れば両方注目したいからです。
※株主構成に、○○信託口と言う名称が並んでいれば、内外の年金資金の可能性が高いです。

まだ、細かな注目点は数多くありますので、後で書き足すかも知れません。

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