オプティム(3694)は、国立大学のキャンパス内に本店を持つ、日本で唯一の上場企業です。
経営上の本社は別にあります。
執筆時の株価は、2609円。→ 現在のオプティムの株価。
第四次産業革命
「株式投資と大局観について」にて、現在、始まっていると言われている、第四次産業革命について言及しました。
この第四次産業革命は、IoT(モノのインターネット:Internet of Things)と、AI(人工知能:artificial intelligence)と、ロボットによるものとされています。
ロボットは、ハーモニック・ドライブ・システムズを以前から参考銘柄にしていますが、AIは広義には、ロボットでもあります。
ちなみにハーモニックは、すでに推薦時から、分割換算で10倍になっています。
第四次産業革命がもたらすもの
ロボットとAIと、あらゆる物がインターネットに繋がり、相互に制御される、IoT(モノのインターネット)によって、多くの事象がIoTテクノロジーによって置き換わります。
機械は人に替わって重労働を担うようになりました。コンピュータは事務作業等の生産性を高めました。
そして、物と物が繋がるIoTやAIは、人がしなくてはならない判断や監視などの多くの部分を担うようになります。
生産機械もネットに繋がり、ネットで受注された瞬間に、要望された仕様で洋服でも何でも個別生産をするようになるのかも知れません。
この産業革命は、生産だけでなく、社会も大きく変えます。
例えば、セキュリティのための監視カメラも、今は人が監視している必要があります。しかし、カメラがインターネットに繋がり、AIがあれば、監視する人間が要らなくなりますし、防犯以外の活用も出来ます。
数々のセンサーもAIを手にして、工場での生産などに寄与します。製品検査もほとんど機械がします。
そして、農業、林業、建設業、サービス業などの特に労働集約産業に最も大きな影響があります。
労働の多くがIoTやAIやロボットによって取って代わられる事にもなりますが、労働力不足の決定的な解決策にもなります。
人々の生活も変えます。
インターネットで家のエアコンのオンオフは機種により既に出来ますが、カレーライスを食べたいと指示すれば、家の冷蔵庫が中身を確認し、足りない材料をネットスーパーに発注する事が出来る用になるのかも知れません。
玄関のインターホンがインターネットに繋がり、AIを持てば、留守宅の訪問者と直接話したり、対応をネット越しに指示したりも出来ます。
不審者であれば、行動を映像等で記録しながら、自動で警察に通報したりするのでしょうか。
道なき道を行くオプティム
オプティムは、様々なことをしてきましたが、AIで成長した会社です。
PCのインターネット接続サービスでは、200機種以上あるルータなどの設定を人がする必要がありました。
多くの人は複雑な説明書をまともに読みません。
NTTのフレッツでは、この個別の問合せに厖大なサポート要員を抱え、多くの経費を使っていました。
これを世界で始めてAIで解決したのが、オプティムの飛躍の始まりです。個別に多くの機種の設定情報を持っているものではなく、新機種も含め、ルーターの中身をその都度、自動で解析して設定をしてしまうものです。
フレッツの契約者に配布される「フレッツかんたんセットアップツール」「診断復旧ツール」等は、オプティムの手になる物で、NTTのサポート経費は、数百億円の節約になったと言われています。
その後、社内IT管理のIoTプラットフォーム(Optimal Biz)や、社内スマートフォン管理システムなどを提供し続けています。
特にスマートフォンでは、社内配布して業務で使おうとすると、一台一台、会社用に設定をしたり、必要なアプリをインストールするだけでも大変なことです。
また従来の携帯と違い、様々なアプリを入れられたり、色々な所に接続されたり、また、データーも入っていますので、落とした時などにセキュリティが保てず、管理もサポートも充分に出来ません。ですから、スマホ全盛の時代になっても、支給するのは普通の携帯と言う会社が多いのです。
これを解決したOptimal Biz for Mobile(のちにOptimal Bizに統合)は、トップシェア(3万5千社以上)を占めている、MDM/EMMビジネスプラットフォームになっています。
オプティムはAIとIoTをJust Realize!
オプティムは、IoTに向かって開発を続けています。
すでに、IoTのOS、OPTiM Cloud IoT OSを提供しています。
IoT機器には、キーボードもタッチパネルもありませんので、設定をし、制御し、連携して働かせ、画像認識や音声認識、AIなどを提供するものです。
OPTiM Cloud IoT OSは、WEBブラウザ上で動作するOSで、クラウドサーバー上にあるプラットフォームです。
IoT OSとは
IoTやIoT OSのイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思いますので、なるべく分かり易く説明します。
例えば、パソコンであったら、入力系がキーボードやマウスで、CPUで演算処理をして、出力先がディスプレイであったり、プリンターであったりします。
すべて、同一の場所にあり、物理的に繋がっていて、ワープロなどのアプリケーションが動きます。そのすべてをWindowsなどのOSが司っています。
IoTでは、出力系や入力系や演算処理がすべて物理的に離れた所にある様々な物(デバイス)です。
入力系がカメラであったり、マイクであったり、センサーであったり、ウェアラブル端末などの様々なデバイスになります。
結果の出力がドローンの行動であったり、どこかのスピーカーであったり、ロボットであったり、誰かのウェアラブル端末であったりします。
離れた場所のこのような様々なデバイスをインターネットを通して、1つのシステムとして扱うOSが必要で、その上で様々なアプリケーションが動きます。
オプティムのCloud IoT OSの特長
OPTiM Cloud IoT OSは、インターネットのクラウドサーバー上に存在していて、ユーザーはWEBブラウザで操作します。他社と比べて分かり易いUIで、直観的な操作になっています。
そして、オプティムのIoT OSの最も大きな特長は、AIを中心に作られていると言うことです。
例えば先の例で言えば、ネットに繋がっていてオンオフ出来るエアコンだけでは意味がないとしています。
スマホとなどと連携し、行動を把握して帰宅時間を類推して外気温や活動量を解析し、帰宅時間に最適室温を提供してこそ、IoTの意味があると言うようなことです。
また、単に他のAI開発企業のように、AIモジュールやアルゴリズムを提供して、後は何かに活用して欲しいということばかりではありません。
IoT OSと一体化して、例えば医療カメラの画像から、AIでの診断までを提供します。防犯カメラは不審者や事件をAIで感知します。
農業分野では、世界初の技術ですが、IoT OS上の農業ドローンによる画像をAI解析して、病害虫の発生をいち早く見つけ出し、ピンポイントで農薬の散布をします。そして、夜間は誘蛾灯をぶら下げて自動飛行し、電撃殺虫をします。
コストや労力の削減と、ほぼ無農薬栽培が可能になります。
このように、他産業分野もすでに使えるサービスとして、IoT OS上にAIが乗っています。
オプティムは、「Just Realize!(直ぐ使える)」をコンセプトにしています。
こういったことは普通のシステム会社は不得意としています。
システムは組めますが、プログラマーは専門性の高い、それぞれの事業分野の事は門外漢で、分からないからです。
ですから、何度も打合せをして個別の要望になるべく添う、あるいはモジュールを提供して、各分野の企業が最終開発をする、もしくは、各業界企業の社内のプログラマーによって開発をしていくことになります。
自社開発は大企業では力業で可能ですが、プログラムも事業ノウハウもどちらも一流を組みこむことは、やや難しくなります。
ある分野に精通した専門システム会社なら、それは可能でしょうが、他の様々な分野に進出して行くことは、やはり難しいのです。
しかし、オプティムは、今現在でも、農業、水産、建設、鉄道、小売、飲食、製造、電力、医療、美容、介護、教育、ビルメンテナンス、コールセンターなどの分野に、既にIoTとAIによるプラットフォームやシステムを提供しています。
まだまだこれからも、○○×ITとして他分野に広げていこうとしています。
産官学の包括連携協定
多くの分野への展開を可能にしている理由の1つが、佐賀県と佐賀大学との包括連携協定です。
冒頭で、国立大学内に本店を持つ、日本で唯一の上場企業と述べましたが、本年、オプティムは大学側から招聘され(貸借料は5年間無料)、佐賀大学キャンパス内に本店を移転し、オプティム・ヘッドクォータービルと名付けました。ヘッドクオーターとは、本部や司令部という意味です。
この本店ビルの1Fには、地元農業法人と協同で運営するオプティム・カフェ、3FにはショールームのオプティムAI・IoT・ロボットパビリオンがあります。
また、近くにロボティクス技術研究のオプティム・ロボティクスラボを併設予定、陸上競技場近くにドローンの飛行テストなどを行う、オプティム・ドローンランドを併設予定。
なお、以前から医療とAI・IoTを技術融合させるためのメディカル・イノベーション研究所を医学部に設置しています。
これらの施設が連なるキャンパス内の一角をオプティム・イノベーションパークとしていますが、以前からの共同研究がさらに加速するものと思われます。
このように、佐賀大学の各学部、各研究科、各研究所、付属病院のそれぞれの教授などとの共同研究が行われています。
さらに県組織の研究所、試験所、県内市民病院などとの共同研究開発体制、 商工会議所、農協、県内の各企業と繋がりのある地元の銀行などのバックアップ体制など、一企業の範囲や能力を超えた研究開発環境を持っています。
佐賀県とオプティムとの包括連携協定の説明動画をご紹介して置きます。
IoTがどのようなものであるかも、よく分かると思います。
もちろん、この恵まれた研究開発環境は、オプティムの地道な働きかけや努力の結果だと言えます。
余談ですが、このような破格の待遇があるのは、オプティムは福岡県の九州工業大学前にもオフィスを持っていますが、佐賀で生まれた企業を福岡に取られると言うような危機意識が地元にあったとも言われています。
ともかく、この包括協定は、他のシステム会社と比べた場合、オプティムの大きな強みの1つです。
単に業界の業務に添ったシステム開発だけでなく、共同研究により、ITを組み合わせることによる新たな知見(共同特許など)が生まれ続けています。
OPTiM Cloud IoT OSの概要
ざっと紹介したいと思いましたが、動画を見られたほうが適切かもしれません。
オプティムのOPTiM Cloud IoT OSの紹介動画です。
防犯カメラが流入する人の割合や異常をAIで調査したり、店舗の空いている席を調べています。
農業風景では、画像解析によって、作物の生育具合だけでなく、病害虫の発生を感知して、ピンポイントで農薬を散布出来ます。このオプティムアグリドローンは、自動飛行機能を搭載したドローンです。
また、各種センサーで自宅療養の高齢者の容体を監視しています。
土木作業の補助をしたり、スマートグラスなどを使い、遠隔で情報を収集したり、熟練者の指示を仰いだりしています。
AIで顔認識をして利用資格の有無の判断をしていますし、温度センサーで発熱している児童を判断して保母さんに教えています。
その他、不審者を判断して通報していたりしますね。在庫管理も人がしなくても大丈夫です。
もう一つ、IoTを始めとしたオプティムのITで作っている佐賀の野菜ブランドである、「スマートやさい」の動画も紹介して置きます。
こういった取り組みは、静岡県の藤枝市でも補助金付きで行われ始めました。
いかがでしょうか、以上で事業のイメージが湧きますでしょうか?
IoT OSがもたらすイノベーション
IoTに関連した企業は多いのですが、オプティムが提供しようとしているのは、OSです。それもAIと組み合わせたものです。
様々な機器は、OPTiM Cloud IoT OSに乗ることによって、AIを得て、異常関知や判断をすることが出来て、画像や音声解析をしたりも出来るようになります。また、他社のAIを乗せることも出来ます。
IoT機器だけ作れば、開発会社や利用会社で複雑なAIや制御システムを作る必要はありません。又は既に繋ぐことが出来てる多くのデバイスがありますので、各システム会社でアプリケーションを開発して行くことも容易です。
OPTiM Cloud IoT OSは、IoTに必要な基本的な機能を提供してくれます。
そして、幾つかの分野では、すぐに使えるプラットフォームが各業界向けに提供されています。
最近では、小松製作所やNTTドコモ、独SAPの日本法人などとも共同で、新会社「ランドログ」を設立し、建設業におけるプラットフォームのLANDLOGを建設業者向けに提供し始めています。
小松製作所によると、今までの工期の3分の1で工事が終わってしまうという事例も、これらのプラットフォームなどで出ています。測量もドローンやAIが手伝ってくれます。
様々なオプティムの事業
ここではIoTに付いて語っていますが、IoTプラットフォームサービス(Optimal Biz・OPTiM Cloud IoT OS)の他にも、リモートマネジメントサービス(遠隔制御等)、サポートサービス(機器を自動で診断、自動で解決)などを行っています。
具体的には、遠隔診療サービスのポケットドクターやスマホ等での雑誌読み放題サービスのタブホやパソコンソフト使い放題サービス、電子会議サービス、子供のスマホ管理と位置確認サービス、学校向け教育用タブレット管理サービスなど、数多くの事業を展開しています。
遠隔診療サービスでも、専門システム会社を含めて数多くが参入していますが、オプティムは経済産業省主催のコンテストで、グランプリを取って補助金を受けています。
少し古い動画ですが、オプティムのリモートマネジメントサービスなどを紹介しています。
オプティムの事業は、B to B(企業間取引)ですので、各企業(ユーザー企業や組み込んで製品を作るシステム会社など)への説明会です。菅谷社長が説明しています。
又、顧客やアライアンスパートナー(提携先)の各社が有用性について語っています。SBI証券もオプティムの顧客です。
技術力と知的資産の価値
特許資産規模という、特許評価方法やランキングがあります。
これは特許の件数ではなく、特許の有用性を勘案した資産価値に対するポイントにして評価するものです。
情報通信分野などでのオプティムの特許資産規模は、NTTやソニーやパナソニックのような大企業と比べても遜色がないと言えます。
そして、重要な事ですが、オプティムは何も生産をしていません。持っている特許は、すべて純粋なシステムに関するものです。
それでいて、日本に名だたる大企業と肩を並べています。何はともあれ、新興企業では突出していると言っても過言ではありません。
この知的財産と技術力は、オプティムの大きな排他性であり、普遍的な成長性を担保しています。
基本特許の力
オプティムが、様々な事業に展開出来ているのは、中心になる基本特許を持っているので、多方面に応用が効くからです。
例えば、オプティムには、スマホなどのお互いの画面を共有して、音声や画像と共に、遠隔地から印や文字を付けたり、指さし指示が出来る技術があります。
これは世界初で、もちろん特許になっていますが、遠隔作業指示でも、遠隔診療サービスでも、作業支援専用スマートグラスでも、サポート支援でも、WEB会議でも、同じように使えます。
遠隔でなかなか話が通じないという、もどかしさがありませんし、他社と明らかな差別化が出来ます。
そして、相手側がどのような画面でも、共有した画面の比率は変らず共有すると言う基本特許や、不正遠隔操作を防止する基本特許、世界一速い画面送信技術などで、周辺を固めているわけです。
要するにオプティムの特許には、基本特許が多いと言う特長があります。ですから、特許件数が少なくても特許資産規模が大きくなるわけです。
つまり、基本特許と言うものは、他社にとっては、回避することが非常に難しい障壁なのです。
他社がどのような技術を使って行っても、同じ事をすれば、特許侵害になってしまいます。これが基本特許です。
ですから、前例で言えば画面を共有したいのであれば、オプティムから、モジュールを供給して貰って自社製品に組みこむしかありません。
オプティムは、誰もやっていないこと、オプティムしか出来ない事をする、というスローガンを持っていますが、こういう理念で事業をしていくと、当然これからも、基本特許が多くなります。
菅谷社長について
菅谷俊二社長は、佐賀大農学部に在籍中に起業しています。
本人も秀逸なプログラマーですが、天才肌のプログラマーが何人も入社してきたため、今ではプログラミングや開発をしなくなっているようです。
とは言え、菅谷社長は、特許資産の個人ランキング(情報通信分野)でトップになっています。
なお、在学中、「第1回 ビジネスジャパンオープン」で審査員のソフトバンクの孫正義氏から「特別賞」を受賞しました。
そして、ソフトバンクから3億円で技術買収の提案を受けましたが、自分で事業化したいと断っています。
その後、土管の中に寝泊まりして営業活動をしたり、資金枯渇で会社を潰しかけたりしました。
また、社長は、3度大きな決断をしています。
1度目は、他の開発を中止して、NTTのフレッツの自動設定ツールの開発に全力を向けたこと。
2度目は、PCに関する開発を中断して、スマホ関係に大きく舵を切ったこと。
正に機を見るに敏で、過去の2度の決断は、オプティムを大きな成功に導きました。
そして、3度目は今、OPTiM Cloud IoT OSをIoT OSのデファクトスタンダードにすべく、社運をかけているところです。
ソフトバンクの孫正義氏に似ていると評されますが、私はRIZAPグループの瀬戸社長ともかぶって見えます。
典型的な人たらし年寄りたらしで、彼の周りに優秀な人材が集まり、各界の重鎮から可愛がられたりしています。
次々に新しい商品・サービスを提供してヒット作にしているところも同じです。
そして、世界をめざし、目標や理想を高いところに置いているところも指摘できます。
これらのことは、社長の著作の、ぼくらの地球規模イノベーション戦略(Amazon)が参考になりますので、投資の検討をされる方にお奨めします。
楽天ブックスではこちら、ぼくらの地球規模イノベーション戦略 IT分野・日本人特許資産規模No.1社長のこれまで [ 菅谷俊二 ]
以下の対談音声も参考になります(一部分無料で視聴可)。
ネットを空気に変える新型インフラ企業(株式会社オプティム) 藤沢久美の社長Talk
当サイトの見解
オプティムのビジネスモデルは、売りきりではなく積み上げ式のストックビジネスで、システムやプラットフォームを提供して、ライセンス料や使用料を得ていますので、売り上げや営業利益は概ね拡大して行きます。実際に売り上げは17期連続で伸びております。
もちろん、常に改良して進化させていく必要はありますが、主な開発費が回収出来た後の利益率は高いものとなります。
現状でも売上高営業利益率、経常利益率等は、20%以上あります。
IoT OSとオプティムの戦略の検証
IoTは、まだまだ、これからの産業ですが、オプティムは、IoT OSで、存在感のある企業になりかけています。
日本ではIoT OSの先端企業の1つですが、世界には、マイクロソフトやグーグルやアップルなどの強敵が控えています。しかし、マイクロソフトなどとは、提携先でもある関係になります。
現在、IoT OSは、誰にも把握が出来ないほどの厖大な種類が出回っています。
それぞれのデバイスを扱うシステム上に、それぞれの独自のOSが入っているような状態です。
これは、IoT機器で何かするために、独自にOSから開発していくような状況が続いているためです。
パソコンやスマホのOSと違い、そのOSを採用するパソコンメーカーなどが多ければ、そのIoT OSが主流になると言うものではありません。
そもそも、パソコンやスマホのように、IoTマシン本体と言うものが存在しません。
ですから、ユーザーには、まず始めにマシンやOSを選ぶと言う選択肢はありません。
また、パソコンなどのように、ワープロを使ったり、ブラウザを使ったり、表計算をしたり、たまにゲームをしたりはしません。
例えば、ドローンで野菜の病害虫を発見する、とても良いシステムを農業法人が採用したからと言って、そのOSを使って、農業法人がカメラ映像を解析して、児童の健康管理はしないわけです。
ですから、そのOSで使えるアプリケーションが多いことを理由にして、IoT OSが選ばれると言うものでもありません。
つまり、IoTのエンドユーザーは、建設でも使える、防犯にも使える、農業でも使えるので、まず、このIoT OSを選ぶと言うことはしません。
それぞれの業界で、最適なシステムを選ぶと言う事、それ事態が、結果的にそれを動かしているIoT OSを選ぶと言う事になるのでしょう。
そして、また、そのようにしてOSの稼働実績が多くなり、安定して稼働出来ると想定される、性能の良いIoT OSであれば、多くの開発会社が提携先になり、そのOS上で動くシステムが開発される事例も増えてくると思われます。
このようにして、IoT OSのデファクトスタンダードが生まれると、オプティムは考えているのだろうと想像できます。
そして、それは理にかなっていると判断しています。
ですから、オプティムは、まず「Just Realize!(直ぐ使える)」をコンセプトにして、多くの業界のエンドユーザ向けのシステムの開発をし続けていると、私は判断しています。
そして、そのための得難い環境も持っている、あるいはそれを志向したと思われます。
普通のシステム会社でも、ある分野に精通した学生を入社させる事ぐらいはします。もし大学教授クラスと共同研究という幸運な機会があったとしても単発的なものに過ぎないでしょう。
また、実証試験に協力して貰えるところを探すのにも労力を使い、それぞれの契約の条件などを擦り合わせるのも時間が掛かると思われます。
しかし、オプティムは産官学の包括協定であり、さらに今年度から協力関係を深化させ、佐賀大学キャンパス内に本店を含めた様々な研究開発拠点まで揃います。
数々の共同研究がさらに加速して、今後も何が飛び出すか、分からない状態です。
現在の状況と株価水準
現在、第四次産業革命において、中心的な役割を果たす企業となるために、今期の経常利益がマイナスにならない範囲で、積極的開発投資(IoT・AI・ロボット)をする1年と、会社側は説明しています。
投資と言うのは、システム会社ですので、ほぼ人件費と外注費と、佐賀大学内への本店移転や研究所設立も含めたオフィス費用、及び開発環境構築のためのPCなどの機材類・備品類になるのでしょう。
投資額がはっきりしないのは、優秀な人材がいればいるだけ、上限額まで採用すると言う事なのでしょう。
これらのうち人件費の増加は臨時職を除いて、来期以降も負担になりますが、伸びている既存事業が多く、自己資本比率(76.5%)も高く、有利子負債も0ですので、それほど問題にならないと思われます。
現在、予想PERは110以上になっていますが、システム開発会社としては出鱈目とも言えません。
大した利益や実績がなくても、期待だけでPER数百になっている会社もあります。
さらに今期は投資額の着地が不透明で、予想利益が出ていませんので、四季報などの利益減少を想定した数字で、予想PERが計算されている結果とも言えます。
(今期の予想利益は、例えば営業利益、1~800百万円として開示されています。投資を全くしなかった場合は、8億円の営業利益になるだろうと言う事でしょうし、100万円で着地もあり得るということでしょう。
※更なる事業機会を発見した場合は、これに係わらず大規模投資をするとしていますので、赤字着地もあり得ます。)
従って、利益減少を織り込んで弱含みの現在の株価は、大幅な投資をしなかった場合を想定すると、システム会社としては、少し高い程度の株価水準ではないかとも思われます。
今期は投資拡大のための更なる減益で、天文学的なPERになることもあり得ますが、もちろん、見かけ上の一時的な話だと考えて良いと思っています。
おそらく市場は、総額の見えない大規模な投資や、その結果に懸念や不安もあって、株価水準を模索しているのでしょう。
当然、減益ですが、成長性が衰えている訳ではありません。
もちろん、単純に増資をするのではなく、利益の範囲内で投資をするというスタンスは、株式の希薄化を招かず、長期投資をする投資家の株主利益には叶うものです。
結論
情報通信分野等に厖大な特許資産を保有し、MDMなどで高いシェアを築いている技術力のある企業が、なおかつ、各産業分野の実証実験場と、国立大学の各学部の教授、准教授などの研究パートナーを手に入れていると言う状況が現在です。
大学キャンパス内に本店ビルや自社研究所まで存在すると言う、この開発環境は、鬼に金棒と言うのでしょうか、チートと呼ぶのでしょうか。
ある専門分野をレクチャーして貰うのではなく、新たな技術を生み出すような、現場研究と共にある、足を地に付けているシステム開発会社とは、何の冗談でしょうか。
実際、行っている事を考えると、オプティムはシステム会社とは呼べません。
システム会社をサポートする、システムインフラやIT応用新技術を研究開発している会社で、他にあまり例がありません。
日本政府の掲げるIoTの目標市場規模は30兆円とされ、今、日本だけでなく世界中で、乗り遅れれば未来はないとばかり、多くの企業がIoTに向かって走り始めています。
オプティムのIoT OSの提携先も順調に拡大し続けており、オプティム自身のものも含め、様々な分野のIoT事業、プラットフォームが立ち上がりつつあります。
オプティムは、日本においてIoT企業の一角を占める可能性が高く、もっと主要な企業になる可能性もあります。
成長可能性は、かなり高いと考えます。
一時的な投資拡大が終わった後、従来以上の利益水準に復帰するのは、ほぼ間違いなく、将来、更なる大きな飛躍も考えられます。
現時点で、時価総額は350億円程度、浮動株も少なく、浮動株時価総額も70億円程度です。
特定株のほとんどは、社長の持株で、固定され、市場にまず出てこない株式です。
上場時を除いて、相場らしい相場はなく、しこっている株式も少ないと思われます。3500円ぐらいから上は、抵抗帯らしい抵抗帯はありません。
ただし、ベンチャー企業ですので、業績が良くても、しばらく配当はないでしょう。
せめて、雑誌読み放題サービスのタブホなどが、株主優待で利用出来るようになれば、株主を継続するメリットが出てくると思いますので、期待したいところです。
以上、当サイトの見解は、未来を見据え、長期的な視点で、無理のない範囲で保有されるのがよろしいのではないか、ということです。
従って、オプティムを当サイトの参考銘柄とします。※2019年のカテゴリー区分の変更に伴い、注目銘柄に変更しています。
なお、現在、株価は下落傾向です。決算の見通しが不透明なため、思わぬ安値が出る可能性もあります。
徐々に買い下がって行くか、上昇転換を待つのがよろしいと思われます。