損切りは大切だと言われます。果たして、そうでしょうか。
株式投資で儲かっているのは5%のわけ
株式投資で儲けているのは、全体の5%らしいのです。諸説があり、事の真偽は不明ですが、少ないと言う例えとして使われます。
極端な意見かも知れず、実際のことは分かりませんが、損をしてしまう人が多いと言われます。
多いと言う前提でお話ししますが、こういった場合は、ほぼ常識や教科書が間違っているのが原因です。
あるいは、そうさせることで利益になる者によって、作為的に誘導されているのです。
もし、利確と損切りを繰り返している場合、損切りが無ければ、どれだけ利益が上がっていたでしょうか。計算して見れば自ずと分かります。
損切りはしないことが大切です。
正確に言えば、損切りに追い込まれないことが大切です。
なんだそんなことか、と思われたかも知れませんが、損切りは悪です。大切な事でも無く、良いことでも無く、悪いことです。
そして、可能な限り損切りをしないで済むような投資をすることは、誰にでも出来るのです。
もちろん、損切りを完全に無くすことは出来ません。
しかし、利確と損切りを激しく繰り返させることが利益になる者たちによって作られた、ただの戦略だったとしたら、どうでしょう。
もちろん、その者たちとは、大手証券の手数料稼ぎのノルマに追われた証券マン、あるいは証券会社です。
今はネット証券の時代に移り、少しばかり下がったら投げてください、そしてまた買って下さい、と回転売買をさせる証券マンと付き合いのある方は少なくなったと思います。
しかし、世の中にいったん浸透した間違った常識が延々と書かれ続け、もっともらしく述べられ続けているだけかも知れません。
もちろん、世の中の書籍や評論家は、大手証券にレクチャーされているのは言うまでもありません。
世界的に著名な投資家も損切りはしません
ウォーレン・バフェットも損切りは必要ないと言っています。ジェレミー・シーゲルもピーター・リンチもビル・ミラーも同様な事を言っています。
バフェットは、「自信があれば、株価が下がることは、保有株式を買い増して利益を増やせるチャンスとして喜べ」とも言っています。
これは仕方なしに行う難平(なんぴん)とも違うものです。
もちろん、損をして売らないと言う事ではありません。
成長ストーリーが崩れた場合は、損をしていても撤退することはあります。
私もここで何度も書いていますように、長期投資では、見定めた銘柄が見込み違いだった場合は、損をしていても、儲かっていても、それに関わりなく保有方針を転換します。
しかし、見込み違いでない場合は、含み損があっても売ることはありませんので、損切りとは違います。
将来の損を切り捨てるためでは無く 投資する意味が無くなったので保有計画を見直すのです。
損切りとは長期的な明確な戦略と見通しを持たずに無思慮に買った株式が下がり、判断が付かないので、もっと下がる危険を回避するための次善の行為なのです。
そもそも、機械的な損切りをしていては、長期投資は成立しません。
成長株への投資は基本的に損切りはありません
このように損切りの必要がない投資は、このサイトでお奨めしている成長株への長期投資です。
成長株は、成長が続く限り株価は上がりますので、一時的に含み損になっても、必ず株価は上がってきます。成長株への投資は、自己投資の次ぎに優れた投資行為です。
当サイトの注目銘柄のRIZAPグループも、推奨してからほんの数年で20倍ぐらいになっています。
成長株と言うのは、資金効率も良いのです。数年で20倍は、少ないと思いますか?
他の動きが良い銘柄で、利確と損切りを何年も繰り返して、果たしてそれだけ資金が拡大するでしょうか。
検討に検討を重ねて成長を見守る銘柄は、見込み違いの撤退はあっても、いわゆる損切りに至ることはありません。
また、撤退で損失を出すことも、投資した初期に株価が下がり、さらに、考えていた成長ストーリーが間違いだったことが分かると言う、不運が重なったときだけになります。
この可能性はありますが、投資したとたん突然成長性が崩れ、損になる確率は、他の投資に比べて少ないのです。
もし、そういうことが頻繁に起こるのであれば、それは、あなたの検討があまりに足らなさすぎるのです。
また、成長株への投資ではありませんが、株主優待や配当を享受するための投資にも、優待や配当が無くなった時にどうするかと言う問題はありますが、基本的に損切りはありません。優待生活で有名な桐谷さんも損切りはしないと言っていますが、この事です。
短期投資でも減らせます
短期投資では、完全に損切りを無くすことは出来ないかも知れません。
しかし、可能な限り、極限まで減らすことが出来ます。
勝てる戦いだけをする
株式投資は、参加することも、しないことも、どこで撤退することも自由なゲームです。
例えは悪いのですが、競馬では、買った馬がトップを走っているうちに、ゴール前に馬券の精算をすることは出来ません。
しかし、株式投資では可能です。
株式投資は、一瞬でも勝っていれば、その時点で勝ち逃げしても許されます。
そして又、自分に有利な得意な場面に、どのタイミングでも参加することが出来ます。言わばレースが始まってから馬券が買えるのです。
これは弱いと分かった相手だけを選んで、トーナメントを勝ち抜いていけるようなものです。
このように株式投資は参加者有利のゲームです。
可能な限り、損切りをしないで済むような場面だけに参加すれば良いのです。自分にとって得意な銘柄、自分にとって得意な場面でのみ戦うようにします。
そう言う場面が来なければ、いつまでもそのタイミングを待ちます。それが許されるのが株式投資です。
荒れた相場、つまり急騰した場面では、もし急落した場合、損切りしか手がありません。予め持っていた場合を除き、そう言う相場には新たに手を出すべきではないのです。
何度か大きく儲かると思いますが、何度か損切りをすることになり、トータルすれば凡庸な投資と変わらず、もしかすると損のほうが大きくなります。
過去からのチャートを慎重に見極めれば、確度の高い場面はあるものです。また、自分の得意な状況や確度の高いチャートのサインのみを選んで仕掛けます。
また、いつもの株価の変動の範囲内で仕掛ければ、もし意に反して下がっても、少し我慢をすれば戻ってくる可能性が高くなります。
株式投資は自由にタイミングを選べるのです。
不利な場面や、見通しが付かない場面で、値動きだけで大きく儲かりそうだという期待で仕掛けるべきではありません。
リスクの少ない技法を選ぶ
逆張りでも順張りでも、まだ伸ばせるかも知れない「腹に抱えている利益の範囲内」でリスクを取ることが大切です。
もちろん、一度に買わず、必ず分割して買います。
纏めて買った場合、もし下がった時に、すぐ含み損を抱え、その後の策が取りにくくなります。
いわゆる分割売買がなぜリスクを減らせるかのと言う説明のみを示します。
※分かり易いように、大げさな値幅で例示しています。考え方を理解してください。
例えば、100円で100株を買っていて、150円になったとします。5000円含み益です。この場合、下がることに対して、50円巾の許容リスクです。つまり、150円が100円に下がるまで、利益が無くならないと言う事です。
ここで、150円で100株を追加で買い乗せします。すると合計200株での含み益が5000円になり、125円まで、許容出来ます。25円巾の許容リスクで、125円以上であれば利が乗っています。
さて、200円になりました。含みが15000円です。75円巾の許容リスク。ここで、100株追加すると、50円巾の許容リスクです。
許容リスク巾が少なくならないように、それを勘案ながら、建玉の操作をします。
150円のところで、あるいは最初の100円のところで、たくさんの買いを入れていたのなら、大きく儲かりますが、それは上がった場合の話であって結果論に過ぎません。
下がった時には全くの逆になります。
また、分割で買っていて、最初から下がった場合。
100円で100株買っていて、50円になりました。5000円の含み損で、この場合、50円巾の上昇をしないと解消が出来ません。しかし、ここで、100株追加します。すると75円で200株持っている事と同じことになり、25円の上昇で損失は解消します。
これは難平と同じですが、分割売買は始めから下がるリスクを想定しながら、分割で予定数を買っていくことですので、難平とは違います。
(※分割売買は、予定数を必ず買うわけではありません。相場動向により柔軟に変化させます。)
もし、全株を100円で買っていたのなら、上昇した時は大きく儲かりますが、下がった時は手の打ちようがなく、執れる手段は損切りか、塩漬けしか無くなってしまいます。
つまり、分割せずに一度や二度で買っていくことは、危険な状態に身を置くことになると言う事で、損切りに至る可能性が高くなるということです。
分割売買は、人によりもっと複雑な操作をしますが、考え方を理解して、各人、売買技法についても検討してください。
また、分割売買には、大きく分けて、等分分割と不等分分割がありますが、等分分割のほうが安全で、不等分分割は下値で多く買うことでコストが下がり利益が出やすくなります。
プロは不等分分割が多く、私はなるべく等分で行います。値段を変えながら等分の株数で買っていくと、全体で考えた場合、安全なのです。
分割を使った売買技法には細かな違いのある種々の方法がありますが、私はつなぎなども入れる自分の一連の技法を多段分割法と名付けています。
私のやり方はそのうちに詳しく言及するかも知れませんが、 とにかく、少なくとも分割法で買っていくことが大切です。
これは中長期投資でも、信用売り建ての時も同じです。もちろん、手仕舞いは一括で構いません。
ちなみに、割りと損切りが少ないのは、逆張りでの仕掛けです。もちろん、順張りのほうが心理的にエントリーしやすいかもしれません。
しかし、逆張りで仕掛けた場合、もし含み損が出来ても、最近の高値以下で仕掛けることになりますので、その水準なら我慢すれば戻ってくることがあります。揺り戻しで、とんとんで逃げることが出来る可能性が高いのです。
また、逆張りで分割買いをしていけば平均値が低くなりますので、とんとんで逃げることが出来る価格水準が下がるだけでなく、上手く行った場合の利幅も大きくなります。なるべく利幅を追求するということも大切ですが、順張りではコストが上がって利幅も少なくなります。
これらの理由で、プロは逆張りをする人が多いのですが、逆張りがプロ的だからするのではありません。逆張りで無いと、怖いからするのです。
※明確な下降トレンドの時に逆張りをしてはいけません。ここで言っているのは、上昇トレンドや往来相場の中の一時的な下げなどを逆張りしていくという意味です。
ほんの僅かな例と考え方をあげましたが、勝てそうな戦いや得意な戦いや柔軟な戦い方を志向すれば、損切りに至ることは確実に減らせると言う説明でした。
この事で何度も仕掛けに躊躇して儲け損なったと思われる事態も起こるかもしれませんが、不要な損もしなくても済むかも知れないと言う事をよく考えて下さい。
損切りはいけないことです
どうしても損切りに追い込まれることがあります。
その時は、果敢に行うとしても、損切りは相場技術の1つと思ってはいけません。
明らかに失敗で、負け戦を逃げ帰ることです。撤退するときに味方を犠牲にして、命からがら逃げ帰ることなのです。
生き延びていてくれたら、今後も頼りになる忠臣を見捨てることです。
仕掛けてみて駄目だったら、単に損切りすれば良いのでしょうか。それはもし駄目だったら、お前たちを犠牲にするのでよろしくと言っていることです。
損切りの一番の問題点はこれなのです。つまり、資金が減少することです。
例えば失った10万円を取り戻すのにどれだけの資金をどれだけの期間投入すれば良いか考えて見て下さい。
そして、その投入は損切りでの資金減少がなければ、本来必要のないものだったのです。通常、こういうことを考えないので、この非効率さが分かりにくいのです。
どうか確度の高い得意な場面だけ厳選して仕掛け、損切りは万が一の苦肉の手段にしてください。
損切りそのものを貶しているわけではありません。素早い損切りで助かることも多いのです。
しかし、不用意な投資をしても、損切りすればよいと思わないで欲しいと思います。
確信のない投資をしないことが大切です。確信があっても失敗することが多いのが投資の世界ですから、なおさらです。
多くの場合、安全サイドの投資が最終的に利益が大きいものです。
投資家が損をする理由
持っていてもよい株式は、成長株(変貌を遂げつつあるボロ株を含む)と、欲しい優待を享受するための株主優待株だけです。
もしくは、成長をしたあかつきに、過去に投入した資金から考えて、配当利回りが非常に高くなっている銘柄です。
最も持っていてはいけないのは、優良株です。いわゆる良い株です。次ぎに材料株です。もちろんその他の株式も同じです。
株式を買う人は増えたり減ったりします。しかし、売る人は常にいます。買いたかった人は、買ったとたんに売りたい人に早変わりします。
つまり、株式市場には、売りたい人ばかりがいます。個人投資家も機関投資家も売りたい人ばかりです。
株式は会社の所有権で、もちろん資産です。
しかし、そんなことを考えている人はあまりいません。多くの人々は明確な戦略や理念を持たず、ほとんどの株式を性急な利益を求めるための売買の対象としてしか見ていません。
それはトヨタもパナソニックの株式も同じですし、むしろ、誰もが知っている名のある優良株こそ、売るために買われ、また誰かに押しつけやすいものです。
また、材料株も投機資金と投機資金の戦いの場で、最終的には誰かに押しつけることになります。
だからこそ、一部の株式を除いて、大部分の株式は、いつも危険に満ちているのです。
持っていてはいけない株式を持ってしまいますと、そのとたんに損切りしなくてはならなくなる事態に至るのは、言わば当然のことなのです。
ですからこそ、そう言う株式は、充分にタイミングを見極め、空売りも含め、短期にトレードする必要があります。あるいはタイミングを見てうねりを取っていきます。又は近づかないことです。
その結果、エントリーする機会が半分以下になっても良いではありませんか。それで困るのは手数料で稼いでいる人々だけです。
不確実なエントリーを徹底的に無くせば、もしかしたら、損切りをしなくてはならない事態が十分の一以下になるのかも知れないのです。
投資家が損をするのは、高く買って、安く売るからです。まさしく損切りは、高く買って、安く売ることに他なりません。