シンプル・イズ・ベストと言う言葉があります。
良く言われるシンプルライフはともかく、システムや仕事なども、なるべく単純化して行くことが良いとされます。
物事は、複雑化すると、誤謬が入って来るからです。
シンプル、単純化と言うのは、端的に言うと、本質を見つめると言うことです。
木を見て森を見ずとは
木を見て森を見ずと言う言葉もあります。
株式の世界では、個別銘柄を木、相場全体の動きなどを森と解釈する向きもありますが、とんでもない間違いです。
このことわざは、些末な事にとらわれて、全体が見えていないと言う意味で、本質を捉えることの大切さを言っています。
類似のことわざに、「木を数えて林を忘れる」「金をつかむ者は人を見ず」「鹿を追う者は山を見ず」「獣を逐う者は目に太山を見ず」などがあり、いずれも物事の本質のことを言っています。
ところが株式のことわざとして捉えると、多くの場合、先のように、個別銘柄をだけ見て、相場全体を見ていないと言うように語られます。
ですから、真に受けた人は、右往左往、あちらこちらに目をやり、袋小路に入っていきます。
罠にはまると言い換えてもよろしいでしょう
たやすいこと
株式で儲け続けている人は、容易いことしかしません。
株式の本質は、下がっている時に買って、上がっている時に売るだけのことです。
あるいは、成長を続けている企業を成長が終わるまで持ち続けるだけのことです。
あるいは、チャートサインで買って、チャートサインで売るだけです。
あなたがもし、株で儲けるには世界情勢、経済情勢から始まって、ニューヨーク市場などの市場の動き、個別銘柄の動き、数々のチャートなどを研究しなければならないと思っていたとしたら、ご愁傷様としか言えません。
必要なことは何か本質を一つ、そして、それを研ぎ澄ませることです。
職人は、一つのことを研ぎ澄まして職人になります。あれもこれもする必要は無いのです。
株式のプロも同じです。
プロは簡単なことしかしません。複雑なことや、複雑な検討をすれば、失敗をします。
一つのことを、あるいはもう一つぐらいのことの職人になるだけの事なのです。
例えば、米国のサイラス・ハッチは、月平均価格が、前月の最高値より10%以上、上がった時に買い、10%以上、下がった時に売るということを繰り返して資産家になりました。
他の要素は全く考慮していません。※ハッチの10%転換法
あなたの森(本質)
もし、チャート判断で短期投資をするのであれば、何十ものチャートを見る必要はありません。
一つか、二つか、三つぐらいのテクニカルチャートのサイン「だけ」を検討して、売買をします。
成長株投資をするのであれば、会社の内容と成長「だけ」を見つめ続けます。
あなたの森はどこにあるのかは知りませんが、森だけを見つめて下さい。
その他の雑音は、あなたの成功を邪魔するだけの存在です。
太極
蛇足ですが、大局と同じ発音で、太極と言う言葉があります。大極と書く場合もあります。
これは東洋哲学で、宇宙の本体、物事の根源を意味します。
この思想を表した図形があり、太極図と言います。
陰陽太極図とも言い、陰と陽が流転して留まることがない事を示しています。
陰から陽へ、陽から陰へ。陰が極まれば陽に、陽が極まれば陰に。そして、陽の中にも陰が、陰の中にも陽があることを示しています。
太極図は、森羅万象を表しているとされますが、その中には株式相場もあります。
上がったり、下がったりと流転する様子は、まさしくこの太極図が示しています。
株式が上がったり下がったりするのは、実に自然な事です。
一々、気にしていても仕方がありませんし、一喜一憂するのは、無意味です。