chocoZAPの展望

RIZAPグループが展開中のchocoZAPは、いよいよ収益フィーズに移行しそうですね。

利益推定

もうすでに事業化出来ていて、いつ収益を可視化するかという状態に入っていますね。

chocoZAPの収益モデルはものすごく優れていて、DXやAIなどを使い、人件費が最小で、当初の想定の1店舗あたり400人を超えて、800人になっていますので、利益を出してくれば相当に期待が出来ます。
黒字化するかどうか、どれだけ収益を出すかどうかは、店舗の新設のさじ加減次第でいくらでもコントロールが出来ます。

ライザップグループはIFRS

結構、分かっていない方も多い(YouTubeなどで解説されている方もほぼ間違えています)のですが、ライザップグループは日本会計基準ではなく、国際会計基準〔IFRS〕です。
国際会計基準では、経常収支は存在しません。
つまり、設備投資などすべてが営業収支ですので、店舗新設投資費用は、店舗維持費用と共に、営業収支から引かれます。

日本会計基準であれば、営業収支が大幅な黒字、経常収支で設備投資費用が厳しいと見え、事業的には有望と写るのですが、国際会計基準では全部が1つの収支なので、その事業でどれだけ厖大な利益が出ているかが分かりにくいのです。
ただ、この何々利益など無い、利益は1つと言う誤魔化しが効かない国際会計基準へ、日本基準も数年後、改正されることがほぼ決まっています。

ちなみにRIZAPグループの財務が悪いように見えますが、国際会計基準では、店舗などの賃貸費用などはすべて有利子負債と見なされます。家賃等が利払と見なされるわけです。
これをリース負債と呼び、貸借対照表には、1年以内に支払の期限が到来するものを流動負債に、1年を超えて支払の期限が到来するものを固定負債に区分されます。
そして、資産の部へ使用権資産として、記述します。「IFRS16号」。
ですから、店舗を多く抱えていると、厖大な有利子負債があるように見えてしまい、自己資本比率も低く見えます。(ライザップグループの場合、約半分近くがリース負債)
日本基準もそのうちに、国際基準に合わせてくると思いますが、日本基準の会社と国際基準の会社を見るときに注意する必要があります。
なお、米国会計基準も、国際会計基準と概ね同じです。

利益推定

現状、店舗新設には、1店舗あたり1000万円程度掛かっている(1300万円と発表されていて、スケールメリット効果で当初の7割ぐらいに成ってると発表されているので推計)と想像出来ます。
月に100店舗前後、年間1000店舗ぐらいを新設した時期もありましたが、これで年間100億円以上の設備投資です。
国際基準では収益から、設備投資100億円を引いて、営業収支が出てくるのですね。
現在は店舗新設を最盛期よりは落としていますので、利益は表に出やすくなっています。いえ、新店舗数で利益をコントロール出来ます。

経費回収店舗比率も、最新の発表では、86:14ですが、まもなく9:1ぐらいになるでしょう。
経費回収出来た店舗と、新店の数の比率がかなり有利になってきていますので、収益回収もしやすくなっています。

純粋な収益構造は、最近の発表では利益率31%です。
執筆時現在、1710店舗と推定されますので、1店舗あたり800人として、1,368,000人。
最近は地方店舗が増えていますので、もう少し店舗あたり会員は少ないかも知れませんが、このまま計算します。

年間会費が、48,919,680,000円。営業収益が、15,165,100,800円。約152億円ですね。
中期経営計画の2027年3月の3800店になってくれば、337億円の利益です。(中期経営計画では店舗あたり921人としていますが、800人で計算)

ここから、設備投資の店舗新設に掛かる費用が引かれるわけですが、もちろん、最終目標の1万店舗以上に達すれば、新設投資費用はなくなる訳です。
仮に1万店舗になった場合、店舗あたり700人として、計算すると、利益は、776億円ですね。
もちろん、1万店舗になるには、後800億円余りの設備投資が必要になる訳ですが、年間約80億円で10年ちょっとで達成出来ます。
改正された中期経営計画では、27年3月で、320億円をRIZAP関連利益と見ていますので、chocoZAPだけを想定すると、先ほどの数字337億円-80億円で、chocoZAP利益、257億円の利益を想定出来ます。

さて、この事業に係わっているグループ企業は、当初ライザップグループ(株)、ライザップ(株)、ライザップテクノロジー(株)でしたが、最近は、BRUNO(株)、REXTホールディングス(株)、また資本参加したSOMPOホールディングス(株)などがあります。
この中で外部に出ていく決算利益(持ち分法のSOMPO)は、ライザップ(株)の23%だけですので、大部分がグループ内に留まります。
RIZAPグループ、RIZAP、RIZAPテクノロジーの利益配分は分かりませんが、連結決算では同じ事ですね。
BRUNOなどは、機器の純粋取引、REXTは店舗貸しだけだと思われます。

将来展望

この事業には様々な展望が考えられます。
消費者に長い手のアプローチ(アプリ)と、近いアプローチ(近くの店舗)と、知名力のアプロートを与えています。

ですから、全てを想定することは出来ませんが、現在、始まっている店舗でのタブレット広告(chocoZAP Partners事業)。
こう言った対象(ターゲット)を縛る広告の単価は高く、利益率が大きい物です。
chocoZAPはさらに対象を絞れます。一例として、首都圏在住で50才以上で、BMI30以上の女性など(ここまで絞ればワンショット300円もありかもですね)。
米国ウォルマートは、店舗内のタブレット広告で年間5100億円の収益を上げているそうです。
chocoZAPも1万店舗以上規模になれば、同じ規模感の利益を上げても何もおかしくはありません。

※参考に、2023年のターゲット広告のインターネット広告総額は3兆3,330億円で、テレビ広告総額1兆7000億円の約2倍です。
広告市場はターゲット広告にどんどん流れています。もっとターゲットを絞りたいと言うニーズも大きいです。

また、1万店舗規模になれば、看板などを目にする接触機会も多くなり、単純接触の法則(接触機会が多いほど、好意的に感じる心理現象)が働きます。
すでにAmazonや、楽天やドラッグストアなどで、chocoZAPブランドのプロティンなどの物品を販売して好調のようですが、もっと様々なものを販売して行けると思われます。

ですから、利益規模は、会員数×会費などのようなものではなく、青天井だと思われます。

胸突き八丁

chocoZAPには敵が多いので、慎重にビジネスモデルを展開して行くことが大切ですし、注意を向ける必要があります。

ヒットネス業界は元より、セルフエステ業界、セルフ脱毛業界、その他、セルフなんとか業界、諸々。
さらにカラオケ業界やコインランドリー業界や、諸々、死活問題におもっているところも多いので、何処で足を浚われるか分かりません。
慎重に進めて欲しいと思っています。

未来の可能性

しかし、chocoZAPは、画期的なシェアシステムに育ちます。
もはや24時間無人ジムの枠は飛び出しています。
最新のAIを利用すれば、無限の可能性があります。
例えばchocoZAP無人キャンプ場。chocoZAP貸し研修室、会議室、などなど、何でも可能性があります。
特に企業会員も募っていますので、貸し会議室などは現実的です。
(現在、リモートワークで、事務所スペースを減少させ、会議の時は貸し会議室を使うと言うスタイルも定着してきて、需要が旺盛ですので、企業に訴求できます)
将来、chocoZAP自動運転レンタカーなども考えられなくはないです。レンタル自転車ぐらいなら、今でもやれそうです。
いずれにしても、会員増が望め、採算が合うものであれば、全てがターゲットです。

現在は胸突き八丁だと思いますので、期待させて頂き、長い目で見守ろうと思います。