新型コロナに直撃されたセクターは、ある意味ではチャンスと言えます。
ただし、受けた痛手から回復するのに少し時間が掛かる恐れもあります。
もちろん、少し苦境になった、あるいは大した痛手がなく、安い株価で手に入れる事が出来るチャンスである会社もあると思われます。
今回は、株価を大きく下げたセクターから、回復だけでなく、長期的な成長も期待できる銘柄を選定します。
新型コロナウイルスでは、旅行セクターなども大きな直撃を受けました。
当サイトでは、旅行関係は、従来よりアドベンチャー(6030)を推奨しています。もちろん、かなり下げましたが、1:3の分割換算でほぼ倍の株価を維持していますし、現在も基本的な判断は変わっていません。
今回は、ホテル業界で選定しています。
ホテル業界からアメイズ
アメイズ(6076)、福岡証券取引所、単独上場銘柄です。執筆時現在、745円です。
なお、株主優待もあり、100株以上、宿泊料30%引の割引券が5枚送られてきます。
低価格ビジネスホテルのHOTEL AZチェーン
アメイズは、HOTEL AZ(78店舗、内直営75店)を展開しています。
急速拡大をしてきたワンブランドのホテルチェーン会社です。現在、九州地域が地盤ですが、本州に進出しかけている状態です。
概ね4800円(税込み5280円)カード会員300円引き+ポイント。
朝食無料、駐車場無料、館内レストラン完備などが特長になります。もちろん、全室無線LAN、コインランドリーなどは完備しています。
主要な大手ビジネスホテルチェーンより、概ね低価格になっています。
低価格を実現するために行っていることがいくつかあります。
- 郊外型ロードサイドホテルであること
- パートやアルバイトの活用
- 館内レストランは既存飲食店ブランドを活用
- 91室タイプ、133室タイプ、160室タイプなど、規格化されたホテル設計
- 定期土地建物賃貸借契約の店舗(※自社店舗も多し)
この中で最も特徴的なのは、ホテル建物の規格化です。
規格外の大型店舗のデザインも外見はほぼ同一で、一目見ただけでHOTEL AZであると分かります。周囲に建物がない郊外型も相まって広告塔になっています。
この規格化は、低価格での建設や短期間での大量出店を可能にしています。
敷地形状にとらわれず、規格化したホテルが建てられるのも郊外型である特長ということなのでしょう。
また低価格な急速な展開を可能にしているのは、大和ハウス工業との協力関係です。
大和ハウス工業から土地所有者の紹介を受け、25年の定期土地建物賃貸借契約を締結します。
その土地に、土地所有者が大和ハウス工業を施工業者として「HOTEL AZ」の建設を行います。
附属設備などはアメイズが所有して、完成した「HOTEL AZ」を運営します。土地所有者は賃貸収入を得ることになります。
ドミナント戦略
ホテル業界には珍しく1地域ごとに制覇していく、ドミナント戦略を執っています。
このためか、地域密着型のホテルになっており、インバウンド需要の減退でも他社と比べて影響が少ないようにも感じます。
同社では、口コミによる利用やリピート率の引き上げが営業戦略の主体になっています。
現在は、九州地域に重点的に出店していますが、特に福岡には、23店舗を運営しており、圧倒的な数になっています。
普通はグループ同士が競合してしまいますが、地域優位性を保っているようです。
本州進出の足踏み
社名をアメイズに変更した2013年以降、大量出店を行ってきました。
しかし、2016年、創業者の穴見保雄氏から、次男の穴見賢一氏へ社長が受け継がれたところで、出店が一服しています。
当時、本州進出を始めたばかりのころで、社長の交代の社内体制充実のために出店を控えるとアナウンスされていました。
計画としては、当面300店舗に拡充し、本州の後は海外進出も視野に入れているとのことです。
現在は、オリンピックなどの建設ラッシュのための建築費高騰を避けるために待機状態ということです。
今後の成長と見解
株価は高い成長を先取りして2000円以上を付けましたが、出店がほぼ止まった失望で、1200円程度まで落ちていました。
現在は、新型コロナの影響で、さらに下落し、現在750円まで回復しています。この価格ですと、配当は35円出ていましたので、配当享受株としても魅力があります。
(※今期は新型コロナウイルスの影響で配当、及び業績は期待できない可能性があります。)
ただし、同社は同族企業であり、創業社長の次男の新社長の穴見賢一氏の手腕もやや未知数です。
従来の成長路線への復帰(本州展開:300店舗)が本当に成されるかと言う事も不安材料になります。
このあたりは確定的なことは言えませんので、各自判断になりますが、社長就任前は店舗開発の取締役だったこともあり、新規出店に及び腰になっている訳ではないと思われます。
少なくとも就任後、社内体制充実のためと称して店舗展開をいったん止めたのは、実は英断ではなかったかと思っています。
創業者の行っていたそれ行けどんどんの店舗展開は、財務的にかなり強引であり、止める勇気があった慎重な性格であろうと推測されます。事実、自己資本比率は、着任前の25.6%から、直近の45.6%まで上がっています。
もちろん、近年店舗規格の設計160室タイプの開発も行っており、大量出店への準備は整えています。
現在、新型コロナウイルスが不透明ですし、今期決算の懸念もあります。
コロナ後は、会社員の会議や商談での出張需要の多いホテルの回復は望めません。
しかし、アメイズは、低価格で郊外型も相まって、車での移動の多い工事関係者の需要、あるいは車での軽い行楽需要が多くなっています。
収益性も高く、価格競争力もあり、現在の不透明な状況が終われば、復活が期待できます。
以前のような急速展開でなくとも、本州展開の強化が始まれば、郊外型ロードサイドホテルは空白地帯であり、価格競争力もあり、高い成長も期待できます。
コロナ直撃の安値を拾っておくのも面白いと思われますが、出来高の少ない福証単独銘柄ですので、下値をコツコツ拾って行くことをお奨めします。
以上をもって当サイトの参考銘柄とします。