美人投票
株式投資は、美人投票と同じと言う人が多くいます。本当でしょうか。
これは有名な経済学者であるケインズが、株式投資は、「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に見立てることが出来ると、著作で述べていることから来ています。
そして、「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」としています。
要するに、自分が値上がりすると判断する銘柄ではなく、多くの市場参加者が値上がりするだろうと思う銘柄を選ぶことが、有利な投資方法であるということを言っています。
確かに、株式の値段は他の商品を同じく、需給で決まります。
しかし、多くの人々が美人であると思う人が最高の美人とは限りません。また、いつまでも多くの人がその人を美人であると判断し続けるとも限りません。
対象は、常に移り変わりますので、これは短期投資の概念です。
しかし、美人投票の考えで株式投資を行うと、短期的な事象に振り回され、荒れた相場、急騰した相場に乗ることになりやすく、損切りも増えます。
もちろん、 他人が美人と思う人(平均)を正しく予想することは、誰にも出来ません。
常に多分そうだろうと言う、不確実で刹那な行動になります。
このように明らかにおかしいことが、まことしやかに流布されているのが、市場です。
優良な資産の保持
投資先として良い会社とは、多くの人が良いと想う会社ではないのは、誰にでも容易に分かると思います。
不良な資産から、優良な資産に資金を移すことが投資ですし、資産形成です。
優良な資産とは、富を生む資産です。
不良な資産とは、富を(ほとんど)生まない資産、もしくは所持していることにより、富が出て行く資産です。
私たちは、優良な資産を保持するように努めなければなりません。
富を生み続けて、成長していく企業は、まさしく美人なのですが、多くの人が投票した平均的美人とは違います。
ケインズの真実
ケインズは投資でも資産を残したのではないかと、思われるのかも知れません。
しかし、そもそもケインズは、美人投票で投資を行っていたのでしょうか。
確かに、行っていたふしもあります。
しかし、それは初期のころであって、1929年ウオール街の大暴落で、ケインズはほぼ破産して、大衆に追従する美人投票では駄目だと悟ります。
そして、新しい投資方針を持ちます。以下は、ビジネスパートナーに送った手紙で書いていることです。
- 将来性が期待できる企業で、根本的な価値に対して割安に放置された銘柄を選ぶ
- 信頼出来る経営陣であること
- 自信の持てる株式へ集中投資をする
- 短期的な市場価格変動に左右されない長期投資
ケインズは、これで投資家としても成功しました。
当サイトの主張とも、ほぼ被ります。
バフェットもケインズを評価していますが、美人投票を評価している訳ではなく、長期投資家としてのケインズを評価しています。
この事を知っている方も徐々に増えて来ていると思いますが、相変わらずケインズの美人投票説を標榜される方も見えます。
実は、ケインズ自身が投資の方針として否定している(した)ことが、この美人投票です。