ITバブルの高値を日経平均が超えたということで、少しニュースになっています。もちろん当時とは状況が違い、比較するようなものではありません。

日経平均は、おそらく、いつの日にか平成バブルをも超えて行くでしょう。いつの日にかと言っていれば、いつかは当たるという声も聞こえてきそうですが、夢物語であるか、理論的に想定出来る範囲のうちであるかの違いがあります。

営利企業とは営利のために存在し、その営利目的を果たして存在している間は、必ずその所有権の価値は上昇しなくてはなりません。常に株価は上昇していく。これは論理的な枠組みです。

しかし、この世界的に当たり前の事実が、国内市場から失われて20年が経ちます。いわゆるデフレ市場です。そして、プラザ合意からの異常な円高。これは世界史上でも希に見る非常にいびつな人為的な措置でした。さらに日銀の度重なる失政、あるいは怠慢の歴史。
いつしか株式とは短期的な利鞘を稼ぐだけのものと見なされやすくなっていました。

このあたりのことは何度も書いてきましたが、これらすべてが絡み合って日本の株価を作ってきました。
しかし、金融の緩和は、高齢者預金として凍結された800兆円の代替品としての役目を果たしつつあります。私の推測ですが、すでに150兆円ほど供給されています。

これらが230円ほどから、70円台まできり上がった、歴史上、類い希な異常な事態の通貨高を緩和しつつあります。おそらく為替は長期的に転換していますので、罫線上、半値戻しの150円~160円は、長期トレンドとして想定内です。この通貨高の揺り戻しは、株価に対しても長期的な上昇トレンドを与えるでしょう。

目下、企業の業績は概ね良好なところが増えています。円安方向に対しての経費増は、原油安が相殺しています。なお、原油相場も長期的な上昇トレンドは転換しているもよう、そして、代替技術及びニーズとしても、長期上昇トレンドに復帰するのはあり得ないと思っています。

物価上昇も2%にこだわらなければ、コアコアで見れば低めですが、今年に入ってから順調だとも言えます。もう少し需要が出てくれば、もっと明らかになってくるでしょう。

デフレ経済から、普通の状態に復帰しつつあること、それでもう、実は十分なのです。
このサイトでも何度も日本以外に買える市場はないと書いていますが、上値余地が大きい、まだ手付かずの市場が日本市場でした。今までは、デフレによってあたかも継続の前提に疑義が付いていただけなのですから。

20年に渡ったデフレ経済が終わったという事実、それだけが必要でした。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)からの投資がどうのこうのとか、くじらが何頭いるかなどと説明するしかないアナリストの多くは木を見て森を見ていない状態なのです。

日本のGPIFが投資を増やすと言う事、それは本当に日本の政策的な面だけでしょうか。違いますね。年金機関を始めとする、世界の多くの長期投資機関は、最低レベルまで下げていた日本への投資を同じく増やしています。この事がヘッジファンドの動向を一時的には織り込みながら、個人投資家の売り越しを織り込みながら、常に高値を取ってきた事実を表しています。長期トレンド的にもダブルボトムを形成してボトムとボトムの間の山を越えているのですから、買える市場です。

中国経済の動向など、いくつも懸案事項やショックはあるでしょうが、株価とは上がったら下がるものだと、20年間、洗脳され続けてきた個人投資家の目覚め、そして、徐々に溶け始めている800兆円の流通通貨化、これらも今後のエネルギーの供給源となっていくでしょう。

破壊と再生、価値観の転換は、今後も起こり続けるでしょう。それが何かと言う問題だけです。