私は長期投資家の端くれの端くれです。
ですから、時代背景や社会構造から物事を考えます。

今日はインフレ(インフレーション)について。
現在はデフレ(デフレーション)状況が続いていますが、デフレという現象は歴史上では異常事態だと言うことはお分かりだと思います。

デフレ

  • 通貨流通量が少ない
  • 供給に対して、需要がすくない。

インフレ

  • 通貨流通量が多い。
  • 供給に対して需要が多い。

以上、ざっくっりとした説明ではこうなります。
詳細な要因は別にして、ほぼこの2つの力関係を考え得れば、この先の見通しは大まかに出来ます。

円通貨の状況と見通し

現在、880兆円が個人の預貯金として、400兆円が企業の預貯金として凍結されています。合わせて約1300兆円です。
バブル時などの不動産売却益、団塊の世代等の貯金、退職金、投資先不在資金等です。
この厖大な資金が市中に出てくれば、デフレは簡単に解消します。
もちろん、需要と投資意欲が必要になります。ですから、消費税の増税は痛かった話になりますね。

対して、日銀の異次元の量的緩和が、今までに約400兆円(私の推計)です。まったく焼け石に水だったと言う事です。
量的緩和策には賛否両論があるでしょうが、すくなくとも不十分であったと思われます。しかし、これが無かったらもっと酷い状況になっていたとも言えます。

さて、この凍結された資金がもし市中に出てきたら、日銀の緩和資金と合わせて、1700兆円が余分に流通するわけです。
国家予算が一般会計で100兆円以下ですから、もし、出てくるならば、かなりのインフレ要因に成るであろうと言う事は分かりますね。

もちろん、全部出てくるとかの暴論を言うわけではありません。ただ、出て来るきざしはあるのかと言う話題です。

確実に分かることは、預貯金を持っている世代が物故して、次の世代に相続される(または事前に贈与されるということです。相続税を重く、贈与税を軽くする政策税制がされています)。
もちろん、次の世代も老後が控えていますので、そのまま死蔵される可能性もあります。
その可能性もありますが、それは可能かと言う事も考えて見ます。

何か需要があるかと言う問題ばかりでなく、今後彼らは預貯金を取り崩さず、生活出来るかと言う事でもあります。
年金の受給減少傾向を受けて、高齢者の預貯金は枯渇するという話もあります。枯渇とはすなわちお金が市中に出てくることです。

この可能性を考えるため、現在の老後破産を調べて見ましたが、破産状態になっているのは約200万人とも言われ、凄まじいと言うしかありませんでした。
あくまで事例ですが、総じて持ち家のない方の破産が多いようです。すくない年金からアパート代を払うと、預金を取り崩さずには過ごせません。
年金だけで生活出来ている方も、連れ合いの片方や自分が病気や介護が必要な状況になりますと、取り崩しが始まるようです。
また、持ち家のある方の破産は少ないような感じで書きましたが、持ち家があると生活保護が受けられませんので、表に現れないだけで困窮している人も多いと思われます。
現役時代に年収一千万円以上、預金一億弱の方でも破産している事例もあります。
多くの理由はやはり介護の開始です。介護保険は世代間で介護するという意識を奪ってしまっている面もあります。

彼らの多くは、バブル期を過ごしていて、年金生活に入っても生活水準を落とすことをしない(出来ない)ことが破産に拍車を掛けているようです。
破産される方で無くとも、預金を取り崩しながら生活しているのが実態で、今後年金の給付減少を受けて、さらに市中に凍結された資金が出回ってくるのは確かではないでしょうか。
一人の破産者の影には、貯金を取り崩し続ける100人の高齢者群がいると言う事を示しています。

インフレ圧力です。

供給能力の推移

生産物資やサービス等の供給能力をどうなっているかと言うことを簡単に推測するためには、失業率を見ることが肝心です。
現在、失業率は3%以下です。失業率には、転職のための一時的な失業等も含まれますので、この状態は完全雇用と見なされます。
つまり、需要より供給が少ないので、人(労働者)が求められている状態と言う事です。

少子老齢化と言う言葉がありますが、これは単純に言うと、総人口に占める労働人口の比率が低下すると言うことです。
つまり、労働者に対して、消費だけをする人が増えてくるということです。
従って、現在の失業率の減少は、経済政策が上手くいっているとも、単に人口構造から来ているとも言えますが、いずれにしても、需要に対して、供給が減少する大まかな傾向にあると言う事です。

大きなインフレ圧力です。そして、この傾向は、今後益々高まります。

インフレの訪れ

歴史上、デフレは異常な時期で、インフレが普通であることは書きました。
すくなくとも紙の通貨を使っている以上、インフレは避けられません。

多くの場合、社会構造はインフレ圧力を持っています。
デフレの条件である、(刷ることが出来るのに)通貨流通量が少ない、(過多であれば自然に減るのに)供給に対して需要が少ないと言う事は、一時期の異常な時代しか存在しない現象であることは分かると思います。
そして、デフレの後にはインフレが来ます。これもわかりきっている歴史上の事実です。
後はいつインフレに戻るかということに過ぎません。

ここでは、今の時代背景や社会構造の変化の観測を書きました。
なお、労働力人口の減少、国力の低下、円の暴落などによる経済破綻を唱える方も見えますが、インフレに移行し、円が下がれば、輸出企業が復活しますので、それはありえません。

現在はデフレ傾向がまだ続き、慣性の法則のようなものが働いていて、反転するのは容易なことではありません。
物価上昇率も日銀の期待している数値は訪れていません。
様々な面でインフレ回帰の兆候がありますが、これはまだ人々の前に明示されている訳ではありません。

しかし、僅かにでも誰の目に見えるようになり、この傾向がしばらく続きますと、インフレマインドが徐々に持ち上がります。
長い間デフレが続いた後のインフレの芽生えは、インフレ期待値を上昇させ、インフレスパイラルをより大きなものにするでしょう。

少なくとも今後、円通貨のみで資産を持ち続けるのは、非常に危険であると言う事は言えます。
現在、預金金利は下限まで下がっていますが、これがやや持ち直して来たとき、喜ぶべきではなく、警報が鳴り始めた状態と言えるかも知れません。

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