当サイトの注目銘柄のRIZAPグループの子会社夢展望が、上場来最安値を更新して、少し動意づいています。
時価総額27億円、株数530万株、浮動株9%。株式としては非常に魅力的です。

執筆時点、506円。夢展望の現在の株価

現在、債務超過になりました。RIZAPグループからの資本支援が待たれます。
同じく子会社のイデアも赤字会社としてM&Aののち、債務超過になり、その後、資本注入、株主優待実施、業績回復になっています。

さて、RIZAPグループはグループを挙げて株主優待を実施することが総会での発言もあり、ほぼ公約になっています。
しかし、イデアは遅れました。夢展望も遅れています。

業績が回復しなければ、世間的にも優待が実施できないから?、優待が負担だから?、いえ、違います。

株主優待を実施することで、株価が上昇します。高株価はRIZAPグループの重要な施策です。高株価を背景に、子会社株式を銀行担保にして、M&Aのための、あるいは投資のための低金利融資を引き出しています。またはそれを背景にして子会社の債務保証をして金利を下げています。
RIZAPグループにとって、株価の維持は、言わば業務で、そのために優待は必要なものです。

しかし、まだ株価を上げたくない時期があります。安く子会社株式をさらに取得することが必要となる可能性がある間です。
つまり、第三者増資による資本注入です。ですから、債務超過に至る恐れがある間は、株主優待を実施出来ません。

イデアの例で説明しますと、債務超過に至り、資本注入をして、株主優待の実施後の株価の上昇で、追加の資本注入分の株式の売却で、それに要した資金の回収とさらに利益計上。

この一連の流れは経営のうまさとも言えますし、商売としても成り立っています。
ですから、説明したように、業績が急速に回復せず、債務超過に至る恐れがある間は、株主優待を実施出来ませんし、それは予定通りです。
一年で業績の回復を目指すのですが、正直無理な場合もありますので、これも想定の範囲内なのです。

では、いよいよ、夢展望は出発でしょうか。足元の業績の動向を見てみましょう。

前期、業績の回復が不十分で、債務超過まで至ったのは、特損の影響もあります。
特損は主に、採算の悪い実店舗の撤退費用、効率が悪いソフトウエアの破棄、RIZAPグループの他社との共同の流通網に乗るための、倉庫移転などの経費です。

今期はこれが通期で効いてきます。
出血を止めて、経費節約と言う事になります。特に通販会社に取って、流通経費の節約は大きな部分を占めるでしょう。
これらの事を含め、非常に保守的に見たと断って、会社側は次期業績予想を赤字からの脱却で、ほぼ均衡としています。

さて、前期の夢展望の売り上げ高は36億円、売り上げ原価は、22億円。売り上げ利益が14億円。営業損失約3億円。
売り上げ利益から様々なものが引かれますが、約4億円の運輸費、7億円に上るその他経費、これはシステム費や倉庫費や店舗維持費等になるものと思われますが、これらが節約されるものと思われます。

そして、もっと重要な事があります。為替です。
夢展望の製品は、ほぼ中国の子会社によって生産されます。為替の影響を受ける円高メリット株で、現在、円高になっています。
ドル円は前期に120円以上であったものが、現在100円台です。売上原価22億円に、この円高メリットが効いて来ます。

このインパクトは大きく、諸策がなくてもこれだけで黒字転換出来るほどです。
夢展望が大きな赤字に至り、RIZAPグループの傘下に入ることになった理由は、トレンドの変化や企業体質だけでなく、1つが円安で、今、これが解消されてきていると言う事になります。

さて、もうすぐ第一四半期決算発表です。1Qで直ぐに黒字転換してくるのかは分かりませんが、その兆候は見えるでしょう。

上場来最安値まで付けましたので、安い株価での資本注入が出来ます。資本注入、優待新設、株価上昇の道筋が間近なものと成ってきているようにも見えます。
現在、動意付いているのは、おそらく、それを分かっている方々が静かに、あるいはこっそり買いに入っているものと思われます。

ところで、今期から夢展望に取締役として派遣されている濱中眞紀夫氏(経歴:アパレルビジネスに造詣が深く、数社の再建に係わりました)は、RIZAPグループのアパレル統括室の室長です。
おそらく、マルコに派遣せざるを得なくなった、また本体の取締役になった岩本眞二氏に変わって、夢展望の次期社長候補だと思われます。
(他のRIZAPグループと合同で開かれたアナリスト向け会社説明会に、夢展望だけは社長の他、この濱中眞紀夫氏が出席し、ほぼ彼が説明しています。)

グループ全体のアパレル統括室の室長を派遣したと言う事は、夢展望がアパレル分野の唯一の上場企業として、エンジェリーベ、馬里邑(マリムラ)、アンティローザ、三鈴と、陣容が整ってきたアパレル子会社群の中心になっていくことになるのでは無いでしょうか。(他に取締役(監査)に、RIZAPグループの財務部長の八島隆雄氏を派遣しています。)
もちろん、将来の事だと思われますが、数社は合流してくるものと推測しています。

そうなると、通販主体、店舗主体、生産も行っている会社も含め、老若男女をカバーする中堅アパレルメーカーの誕生で、ここまでの視野を持ってRIZAPグループは行動しているものだと思われます。

以上を持って、夢展望を当サイトの参考銘柄とします。

※後日記載(8/14)

決算発表がありましたが、営業利益7600万円の赤字です。

イデアの場合は、内容からかなりの成長と見て取れますが、夢展望の場合、発表された短信の内容が結果のみであるため、判断が出来ません。
ただし、1Qの決算でもありますし、当サイトの見解の大枠は変わりません。