上昇波

この項は、4月30日投稿の「新型コロナ後の動乱世界を見据えて」の補足になります。
ただし、投稿後、フォーラムで書いてきた事とほぼ同じになりますので、フォーラム参加者の方にはお目汚しになりますが、御承知置きください。そろそろ、ここでも書くという意味合いですね。

投稿時に20000円以下程度であった日経平均も、25000円を超えました。
しかし、「めでたしめでたし」、と言う事ではありません。こんなものではないという事をお話ししています。

当然の摂理

それでは、恒例になりつつある、日経平均株価の年足をご覧下さい。前日までのデーターです。

日経平均年足

見にくい場合は、クリックして拡大してご覧下さい。スマホの方はタップして、ピンチアウトして拡大して見て下さい。

上昇波が続いていることが分かりますね。
普通、これだけ壊れた相場が、このような短期間に立ち直る事はありません。立ち直るどころか、平成バブル崩壊後の高値を超えました。
後は、平成バブルの高値だけですね。もちろん、直ぐではありませんが、超えると思っています。

バブル崩壊後の不良債権が処理できたのは、2003年頃、当然に相場は立ち直ります。
しかし、サブプライムショック(リーマンショック)が襲います。これは実体経済の停滞になりました。

しかし、2008年、2009年の毛抜き底で、相場は立ち直ります。
ここに新型コロナ過が襲うわけです。実体経済も傷つきます。しかし、経済が要因ではないのですよね。

平成バブルとは

平成バブルの原因は色々と言われますが、株式相場に限って述べます。要するにこうだという事です。

そもそも、60年代の証券不況時、大蔵省の承認の元、銀行団により日本共同証券が設立され、株式の買い上げが行われました。

その株はどうなったかと言いますと、最終的に様々な所に引き取られ、株式保合構造を作ります。平成バブルの遠因はここにあるわけです。

さて、金融緩和が行われれば、最終的には、市場に潤沢な資金が供給され、株式は上がります。
2度のオイルショック等による徹底した金融緩和が行われましたね。

経済問題発生 → 金融緩和 → 経済問題解決 → 株価上昇

ここに株式の持ち合い構造があり、供給された資金に対して株式が足りない場合は、どうなるのかという事例が平成バブルです。

歴史は繰り返すのか

現在、よく似た構造がありますね。

不況時ですが、銀行そのものが疲弊していますので、共同証券は設立されませんでした。
しかし、代わりに買い上げを行っているところが、現在にもありますね。日本銀行です。
色々言われますが、いよいよ日本銀行が買わなければならない時代だと言う事も言えます。

日銀は、現在、行われているETFの買い上げだけではなく、2002年11月から2004年9月までの間と、2009年2月から2010年4月までの間にも、金融機関から保有する株式の買入れを行っています。
しかし、ETFによる、間接保有が大きいですね。

日銀の買い入れ

誤解している方も多いですが、日銀は株式をいわゆる買っているということではありません。
日銀の買い入れは、資産として株式(ETF)を取得して、それを資産担保に通貨の発行を行っています。バランスシート上、資産に国債や株式などがあり、負債の部に日銀券があります。日銀は永遠に買い続けることも出来ますし、売る必要もありません。
つまり、日銀が売却するということは、金融引き締め政策で、資産(株式)を放出して負債(日銀券)を回収するということです。

それほど、影響があるのかと言いますと、ありますね。日本の市場はほぼ売り物がない状況、売りは空売りが主体のような状況になっています。

ニッセイ基礎研究所試算、21年3月末は予測。

ざっと、このような状況ですね。日銀の継続した買いが、どれだけ大きいかお分かりでしょうか。

さて、ヤフーファイナンスから、マネーストックの推移です。

先ほどの説明をコロナに置き換えます。

コロナ問題発生 → (最大規模の)金融緩和 → コロナ問題解決 → 株価上昇

そして、ここに株不足がある状態です。

さらに日本株は割安です。日経平均PBRは、1.2倍以下です。

人によっては、1つ覚えのように、企業業績が悪いので乖離しすぎだ、バブルだというような素人評論家の意見も散見しますが、愚かしい限りです。
そもそも、株価と言うものは、乖離しているものです。未来を先取りする以上、どちらかに乖離しないということはありません。何度も起こってきた金融相場は、すべておびただしい乖離です。
さらにバブルを知らないものがバブルという事も笑止でしかありません。
平成バブルでは、平均のPERが80倍にも達していて、弾ける瞬間は100倍にも200倍にも達していました。これがバブルです。そして、バブる時は、経済もバブルになっているものです。
現在、日経平均予想PERは、やや高めになっていますが、コロナ過のため業績予想をしない企業が多く、利益0として計算されますので、高くなっている訳です。

市中に供給された通貨と言うものは、政府や日銀が回収しない限り、どこかに滞留します。やがて、株式市場に入ってきます。

よくお考え下さい。リモートワークが増えてきて、不動産に投資するのはためらわれます。
そして、金利を考えましょう。世界的に低金利、ほぼ0金利状態です。世界中で金融緩和をしています。

まだ、話し足りない事がありますが、要は株が足りない、お金がだぶついている、プラスサムの投資対象がほぼ株式しか残されていないと言う事です。