資金管理より、資産管理

凧の糸と相場の金は出し切るなとか、資金管理が重要と言いますが、それはトレードをする場合であって、長期投資の場合は配分が大切になります。
それはポートフォリオの配分であって、時(時代)によって預金等の現金配分が相当量縮小されることは当然にあります。
短期投資(投機)と長期投資が混在して語られることが多いのですが、もちろん手法も哲学も大きく違います。

短期投資と長期投資

短期投資はゼロサムゲームであって、長期投資はプラスサムゲームですので、根本的に組み立てが違います。
短期投資ではトレードの回転を多くしますが、回転売買をしてしまえば、利益の20%が税金としての資金流出を招いてしまい、資金効率が悪くなってしまうことを長期投資では重視します。
この長年に於ける複利運用による資金効率の良さは、長期投資の最大の利点です。
これらのことは、多くの長期投資家が言及していますし、投資の専門家や研究者では語られます。しかし、多くの評論家を始めとし、区別が出来ない方が多いのです。

損切りが大切と言いますが、損切りも長期投資にはない概念です。
そもそも長期投資で見るのは会社そのもの、あるいは成長性です。決して株価ではありません。価格の下落が処分ポイントに成るのではなく、会社の実体変化や成長性毀損が撤退ポイントになります。
何年何十年と会社の成長や益回りを追い掛ける長期投資では、10%~20%などの一律な株価下落を指標にする意味がないですし、そもそも長期投資そのものが不可能になってしまいます。
また、多くの場合、成長銘柄では暴騰、暴落の幅が大きいので、なおさらです。

こまめな回転や損切りなど、これらの特徴によって、短期投資では、資金管理が重要と語られる訳です。

資産とは

長期投資は、資産運用とも言い換えることが出来ますが、そもそも資産とは何でしょう。
投資で言う資産とは、会計的な意味での資産ではありません。

投資や人生での資産とは明確です。富を産む物、それが資産です。
言い換えれば、富を消費する物は負債です。ですから、所有する事で一方的にお金が出て行く車などは負債であり、それをコストと呼びます。
もちろん、必要経費と考えられるものもありますが、見栄などであれば、ただの無駄なコストです。

それらの意味で、現金、あるいは現金等価物は、現在では資産ではありません。ほとんど収益を産まない紙切れに過ぎません。

資産に替えていく作業

短期投資では、ポジション調整のための予備費、信用取引をしている場合では、追証のための予備費の保持が必要です。
つまり、一回のトレードのリスクを管理するために資金の余裕が必要です。ですから、資金管理が重要になるのです。

しかし、長期投資の実体は、ポートフォリオの構築、配分、そのものです。ポートフォリオの有利な配分が要になります。
現金、及び現金等価物は、その中ではポートフォリオの配分先の1つに過ぎません。あるいは外貨の中の円通貨の配分の1つに過ぎません。

時代の変化の耐性を考慮しつつ、最大の資産効果、つまり、富を最大に産むことを考えるのが長期投資です。より富を産む資産を手にしていくと言う事です。

分散投資が良いのか、集中投資が良いのかという命題も、実際には、現時点でポートフォリオの配分のリスクや有利さの追及に過ぎません。
その兼ね合いで、結果的に数銘柄の集中投資になるのか、広い分散投資になるのかが帰結します。

つまり、資産をどのように持つかの問題ですね。

ですから、端的に言えば、資産運用で考えれば、現代ではほぼ利息のない現金は縮小して置くべきものです。

実際の資金準備

もちろん、ある投資対象から別の投資対象へうつす場合、現金が仲介します。また、現金の配分を多くしているタイミングと言うものもあります。

もちろん、使い道のあるお金とか、非常用のお金は必要です。当然に生活のための現金配分は必要なもので、それらのお金に手を付けることも出来ません。
これらの資金管理は、最低限の基本的なものです。

また、株式などは暴落の時の購入が最も効率的なものになりますので、購入資金の用意という配分用途もあります。
そして、暴落時には果敢に下落した優良資産にシフトを強めていく必要があると判断されます。

ただし、世の中、先行きの見通しは、完全には立たない物です。生活のための非常用の資金のほか、予備的なものが必要かも知れません。

その場合、ほぼ確実性のある利回りが高い配当が出る銘柄は、ある程度の現金準備として考えて良いと思われます。
逆に言えば、そういう銘柄に対しては、大幅な買い出動と買い持ちも暴落相場での選択肢の1つです。